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それからの恭子は、まるで別人のように変わった。


明らかに垢抜けて、大学でも注目される存在、つまりイイ女になっていった。


そうなると俺も、悪い気はしない。


恭子を変えたのは俺だ、という自負もある。


そしてそれは、気持ちの良いことだったのだ。


恭子は俺にとって、最初は単に便利なだけの女だった。


俺の言うことを、何でも聞く女。


その時、恭子を心から愛していたか?と問われれば、俺はやはり答えに窮するだろう。


しかし、俺に対する恭子の依存と服従は、失い難い甘い蜜であったのだ。


俺と恭子は、すぐにお互いのアパートを行き来する関係となった。


いわゆる、半同棲というやつだ。


恭子はイイ女だったが、ただ酒癖が悪かった。


酔っ払っては、どこかの男と寝る。


頻繁ではないが、そんなことをした。


俺は恭子が心配で、苦しい夜を過ごすことも多かった。


恭子は、しらふになれば、俺に泣いて許しを乞う。


そして俺は、それを許した。


それを許せたのだ。


愛ではないが、独占したい。


そんな感情のままで、恭子と数年が過ぎていった。


俺は、そのとき安心しきっていたのだ。


恭子の俺への愛は、揺るぎない。


しかし、それはただの幻想だったのだ。


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恭子の態度に変化が表れたのは、恭子が就職してしばらく経ってからのことだった。


恭子は大学でデザインを学んでいたが、あまり関係のない教育関係の会社に就職していた。



毎晩どちらかの家で、一緒に過ごす。


そして、一緒に寝る。


それがここ数年の間、俺たちの当たり前だった。


しかし、ある時からそれが当たり前ではなくなってしまったのだ。


俺は、恭子に男の影を感じていた。


恭子は、仕事が忙しいから、と俺の疑念を否定した。


しかし、それが嘘であることなど、恭子の態度で簡単に分かるものだ。


俺は、そろそろ潮時なのかもしれない、と考えていた。


なぜなら、恭子との未来は、考えられなかったからだ。


このまま終わるのもいいかもしれない。


俺はそのとき、そんな風に考えていた。


そんなある日のことだった。


その事件は、唐突に起こった。


仕事を終えた俺は、恭子の家に向かった。


終電ギリギリの時間だった。


恭子の部屋に入った俺は、衝撃を受けた。


そこには、俺の知らない年上の男が、当たり前のように、しかも独りでくつろいでいたのだ。