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俺は、栞の言葉の真意を測りかねていた。


コイツは俺をからかっているのか?それとも…。


「…なんでプロジェクトCっていうの?」と、俺は冷静を装ってそう聞いた。


「うーん…。よくわからないけど」


栞は相変わらず、楽しそうにパンをチーズにくぐらせている。


そのとき、栞は急に真面目な顔でこう言った。


「ねぇお兄ちゃん。なんかエッチなこと考えてない?」


俺は、ドキッとした。


図星だった。


俺は動揺を隠しながら、その言葉を柔らかく否定して、こう続けた。


「ホテルに行って何するの?」


「うん。えーと部屋を見て、お話するの。それだけ」


「ふーん。変なの」


まぁ、それだけのことが友達の間で流行ってるらしい。


さすがにお嬢様学校だけのことはある。


のんびりしたものだ。


「で、栞はプロジェクトCやったことないの?」


「ないない!そんなとこ行ったこともないし。だからちょっと興味があるんだよね」


俺は、その言葉を聞きながら、なぜかホッとしていた。


栞もまだまだ子供なんだな…と、俺は安心したのかもしれない。



店を出た俺たちは、ホテルに行く代わりに新宿中央公園に向かう。


プロジェクトB。


夜のカップル見学という訳だ。


やれやれ…。


栞はまた、楽しそうに俺のひじにぶら下がっていた。


51


夜の新宿中央公園は、熱かった。


カップルたちが、いたるところでいちゃついている。


「ねぇ、お兄ちゃん見て!すごいよ!」と、栞は小声で言う。


恥ずかしがりながらも、目を輝かせている。


まったく仕方がないな…。


俺は、そう思いながらも、そんな栞がかわいくて仕方がなかった。


でも栞は、恋愛の対象外だった。


俺は、そう思うようにしていたのだ。



公園を、今度は手をつないで歩く。


偽装カップルとしては、それなりにそれっぽく見せなくてはならない。


これは、栞の提案だった。


俺は、G-SHOCKで時間を確認する。


デジタル表示は、23:20を示していた。


「栞、そろそろ帰ったほうがいいんじゃないの?」と、俺は栞を促す。


駅に向かう途中で、栞は、こう言った。


「あのね、あたし先輩のことは、もうあきらめようと思うの」


「そっか…」


「うん。失恋から立ち直るには、新しい恋をするのが一番だと思うし、好きなひともできたし…」


俺は、その言葉を聞いて、なぜか心が痛んだ。


新宿駅西口に着いた。


栞を、小田急線に送る。


「お兄ちゃん、またすぐに逢ってよね。約束だよ。バイバイ!」と言いながら、栞は突然、俺の首筋に優しくキスをした。


えっ?


栞は、恥ずかしそうに小さく手を振りながら、小田急線の改札に消えて行く。


俺はひとり、ただ呆然と立ち尽くしていた。