48
次の水曜日、俺と栞は新宿のマイシティ前で待ち合わせた。
仕事が押した俺は、午後8時を少し過ぎて、マイシティに着く。
栞は、すでに待ち合わせ場所に立っていた。
俺は、先に栞がいることに気付く。
これは、カメラマンとして日々鍛えられた賜物だ。
今日の栞は、ジーンズに白いシャツ。
ブックバンドで教科書をまとめて、それを小脇に抱えている。
一瞬にして、細かいところまで確認してしまう。
これもカメラマンの性だ。
そして、やっぱり栞は、かわいい。
俺は、少しの時間栞に見とれてしまっていた。
「ごめんごめん!少し遅れちゃったね」と言いながら、俺は栞の元に駆け寄る。
「ううん。お仕事お疲れさまでした!」と、栞はうれしそうに笑った。
俺たちは、新宿三丁目に向かって、新宿通りを並んで歩く。
栞が俺にぶら下がるように、ひじに手を絡ませてきた。
「おいおい!妹はそんなことしちゃダメなんじゃないの?」と、俺は栞を諭す。
「妹だからいいんだも~ん」と、栞はいたずらっ子のように笑った。
49
それから20分後。
俺たちふたりは、チーズフォンデュを食べていた。
栞は写真の話や、今日起こった出来事を楽しそうに話す。
俺は、それをニコニコしながら聞いていた。
ほんの些細な出来事を幸せだと感じられる、そんな栞がまぶしく見えた。
「そうそう!最近ね、友達の間で流行ってることがあるの。プロジェクトCっていうんだけど」と、栞は言う。
「へっ? なんだよそれって?」
栞は、意味深な顔でニコニコ笑っている。
「この後、お兄ちゃんに連れて行ってもらいたいところがあるんだ…」
「うん?何?どこ行きたいの?」
「ラブホテル…」
俺は、栞のその言葉に、言葉を失っていた。