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普段は狭苦しいロフトが、いまは落ち着いた暖かい場所に感じられる。
俺の腕のなかで、裸ですぅすぅと寝息を立てている沙樹子が、愛おしい。
俺は、沙樹子の髪をなでる。
もう、離したくない。
俺は、沙樹子に優しく触れるようなキスをする。
俺はそのとき、こんな時間が永遠に続くことを願った。
ずっと…。
次の朝、俺たちは一緒に家を出た。
池袋駅で俺の部屋の合い鍵を作り、沙樹子に渡す。
「合い鍵もらうのって憧れだったんだ。ありがとう!」と、沙樹子がはしゃいだ。
それからは、穏やかな日々が続いた。
相変わらず俺も沙樹子も、バタバタした毎日を送っていた。
なかなか逢えないし、毎日電話で話せるわけでもない。
しかし、俺は穏やかな日々を送っていたのだ。
沙樹子とは、離れていても心は繋がっている。
そう信じることができたからだ。
そんなある日のことだった。
栞からかかった一本の電話…。
それが、その後続く俺の苦しみの始まりになるとは、そのときは思いもしなかった。
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「あっ、お兄ちゃん!栞です。やっとつながった!」
栞は、うれしそうにそう言った。
「あぁ。ごめんね。どうした?」
「どうした、って。また逢ってくれるって言ったじゃん」
それから栞は、楽しそうに、毎日起こるちょっとした出来事を話した。
俺には、それがとても新鮮だった。
毎日起こる、薄汚れた出来事。
その現場に行き、それを伝える。
それが、俺の仕事だった。
俺は、そんな毎日に疲れていたのかもしれない。
栞の話すことは、きれいな出来事ばかりだった。
栞が感じる楽しいこと、悲しいことは、栞がきれいな心を持つからこそだ、と感じられた。
俺は、そんな栞にもう一度逢いたくなっていた。
「まぁ、栞は妹みたいなもんだしな。じゃあ、いつ逢おうか?」と、俺は言った。
「じゃあ、今度の水曜日は?夜の8時にどこかで」
俺と栞は、次の水曜日に新宿で逢うことを約束した。