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それからの俺は、重い気分を抱えて過ごしていた。


沙樹子からの電話は、まだない。


イライラが募る。


俺は、明日から大阪への一週間の出張が入っていた。


このまま大阪に行くわけにはいかない。


俺は仕事が終わるとすぐに、公衆電話から沙樹子の家に電話をした。


やはり、沙樹子はいなかった。


電話に出た妹さんに、俺のスケジュールを沙樹子に伝えてくれるように頼む。



次の日、俺は大阪にいた。


バラエティー番組のロケだ。


沙樹子とは、大阪から、やっと電話で話すことができた。


とにかく、もう一度逢う約束だけは取り付けた。


逢ってちゃんと、気持ちを伝えなければ…。


俺は、ただ沙樹子の体が欲しいだけではないのだ。



大阪でのロケも、あっという間に最終日となった。


レストランを借りての撮影。


これでアップだ。


明日は、東京に戻る。


早く、帰りたい。


早く、沙樹子に逢いたい。


ラストカットを取り終えたとき、撮影していた近くのテーブルから、若い女の子が俺に手を振ってきた。


たぶん十代だろう、と俺は思った。


一色紗英に少し似ている、かわいい子だ。


それが俺と栞との、初めての出逢いだった。


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撮影機材を片付けている俺たちスタッフの様子を、4人の女の子たちが面白そうに見ていた。


しばらくして気が付くと、照明機材を片す俺のそばに、さっき手を振ってきた女の子がしゃがんでいた。


ニコニコと微笑んで、俺のことをじっと見ている。


ヤバい!


かわいい。


「こんばんは。ねぇ、テレビの撮影? カッコいいよね、カメラマンって」と、女の子は楽しそうに言った。


言葉から、どうも地元の子ではないようだ。


聞けば、彼女たちは東京の短大の一年生で、短い旅行で関西に来たのだという。


半年前までは、高校生だったわけだ。


さすがに、若い。



機材を片付け終わった俺たちは、その女の子たちと飲みに行くことになった。


まぁ、自然な流れだ。


最初に手を振ってきた子が、俺のそばを付いて歩いていた。



俺たちは、プールバーに入る。


とりあえずは、ビリヤードというわけだ。


「名前なんていうの?」と、俺はそこで彼女に聞いた。


加藤栞。


それが、俺を狂わせた女の名前だった。