18
地上に出た俺たちは、いつものように手をつないで歩く。
しかし、やはりいつもとは少し違っていた。
沙樹子は、少し酔っているようだ。
いつもよりも、俺に寄り添って歩く。
もしかしたら沙樹子は、酔っているフリをしていたのかもしれないが。
俺は、なるべくラブホテルっぽくないところを探して歩く。
そういえば学生のときの友達が、当時ホテルのフロントでバイトしていたっけ。
確か、この近くだったはずだ…。
そのホテルは、普通のビジネスホテルっぽい作りだという話だ。
沙樹子をいきなり、いかにも!というラブホテルに連れて行くのは、どうしてもいやだった。
今夜は、計算外の展開だった。
しかし、これ以上のチャンスもなかなかないだろう。
本音を言えば、沙樹子を抱きたいに決まっている。
でも。
しかし。
悩んでいるうちに、その噂のホテルにたどり着いた。
「とりあえず入ろう」と、俺は沙樹子を促す。
「しょうがないよね。明日も早いし…」と、沙樹子はつぶやいた。
入口を入ると右側に小さなフロントがあった。
「6800円です」と、おばさんの声が聞こえる。
支払いを済ませると「はい、コレね」と小さな四角い紙箱を手渡された。
それは…、もちろんアレだ。
俺は、それをドギマギしながら受け取る。
ドキドキしていた。
俺たちは、まるでビジネスホテルといった作りの部屋に入る。
しかし、ベッドはダブルがひとつだけだ。
ふたりの間には、なんとなく気まずい空気が流れていた。
19
俺は、ベッドに腰掛けていた沙樹子の隣に、ゆっくりと座る。
そして少し時間を置いて、こう言った。
「シャワー…浴びてくれば?」
「えっ…。あたしそんなつもりじゃ…」
「分かってるよ。だって汗かいたでしょ?」
「そうだけど…」
俺は、そのときこう決めていた。
今日沙樹子を抱くのは、やはりやめておこう、と。
沙樹子を大切にしよう、と思ったからだ。
しかし、人間の気持ちと言葉、行動は一致しない。
そんなもんだ。