カイネのBF妄想小ネタ -3ページ目
帰宅途中で本格的に降りだした。
梅雨時に傘を忘れた自分に、眉を下げ
公園の東谷に走り込んだ。
「…まだ、止まないなぁ…」
小さく息を吐く。
じっとり湿った空気に、髪から滴る水滴
全部拭いきれないと思うもハンカチで髪を拭く。
「あれ、お姉さん」
パシャリ音がすれば、学ランを頭から被った男の子。
…何度か、声をかけられた。
名前も知らない他校の子。
「雨宿りですか?」
「…うん。」
学ランを被ったまま、東谷には来ず
こちらを見てる。
「これ、被って帰ればいいですよ」
「え?」
はい、と学ランを差し出された。
「え、ダメだよ。被って被って」
雨は止んでない。
差し出してくれる前から濡れていた彼は
更にシャツや髪を濡らし、笑顔で学ランを差し出してきていて。
慌てて手を伸ばし、東谷から出て差し出された学ランを彼の頭へと戻そうとして。
ビックリした顔の彼が、同じように慌てて学ランを被せて来た。
「濡れちゃうっすよ、お姉さん」
「あの、私は、…大丈夫ですから。」
頭へと掛かる学ランを、彼の頭の方へ引く
「家も遠くないですし、小降りになったら走って帰りますから…」
お気持ちだけ。有り難うございます。
笑いかけたら、彼が瞬いて。
すごく嬉しそうな顔になった。
「やっぱり、可愛いくて優しいっす」
「え?…きゃ、…」
バサッと一瞬視界が暗くなった。
彼が、掴んでいた学ランを放したのだ。
「風邪、ひかないで帰って下さいっす」
バシャバシャと彼が、走り去りながら
こちらを見て、バイバイと手を振った。
「え?あ、せ、制服…っ」
頭から外し、学ランを掴むも既に追いつける距離にいない
…運動神経が余り良くない自信は、ある
しかも、うっかり転んだりしたならば
手にした学生服を汚すのは必須。
「……どう、しよう…」
被れる訳がない。
諦めて制服をたたみ、腕にかけて。
雨の中を帰る事にした。
…思い出せば、自分から近づいたとは言え
随分距離が近かった。
今更だが、頬が熱くなる
帰って、…本来はクリーニングに出した方が良いだろう学ランに視線を遣る。
これから暑くなるとは言え、無いと困るはずで
名前も知らない
…学校前に居れば見つけられるだろうか…
会えたら名前を聞こう。
そして、ちゃんとお礼を言おう。
梅雨の入り
名前も知らぬ彼に、学生服を返しに行くのは
また別のお話。


おしまい。