日曜日
念願のゲーム限定版を朝から買いに行き。
機嫌も良く帰ってみれば。
「お帰りなさい、先輩」
「え?ええ?!、キミ、何で…たッ」
可愛い可愛いボクの後輩であり女神様であり
大好きな人が、ヒラヒラした
男子の萌えの詰まった白い可愛いエプロンでの、お出迎えに
ビックリし過ぎて閉めたドアに後退していって、したたかに後頭部をぶつけて、しゃがみこむ。
「せ、先輩、大丈夫ですか?」
パタパタとスリッパの音を響かせ近づく君を見上げる。
「だ、大丈夫です。じゃなく、何でキミがここに?」
ここ、ボクの家ですよね。
ふわっとしたワンピース、真っ白なエプロン
ハッ!エイプリルフールだったろうか?
もしくは、ハロウィン。
何かの冗談とか、悪戯とかで我が家に?
いや、キミになら悪戯されるのは、むしろどんと来いと言うか
「…あの、先輩のお嫁さんですから。
お家にいて、お出迎えを…」
気恥ずかしさからか、ほんのり頬を染めて俯くキミを見上げ
「成る程、お嫁さん……はい?ッ、だっ!」
あんまりビックリし過ぎて、仰け反って
再び後頭部をぶつけた
「せ、先輩…だ、大丈夫ですか?」
タンコブになってませんか?
気遣う口調に、伸ばされた片手
細い指が、そろりと僕の頭へと触れ
「だだだっ大丈夫!ボクは無敵ですからっ」
威勢良く立ち上がる、ガッツポーズのボクにキミは瞬いて、直ぐに微笑んだ。
「ふふ、良かったです。クッキー焼いたんです。」
お茶にしませんか。
勿論、ボクに断る理由は微塵もなく。
と、いうか。
ボクにドッキリを仕掛けて誰にメリットがあるか分からないけど。
まだ半信半疑で、キミの後をついて居間に入りソファへ腰掛けた。
「紅茶でいいですか?先輩」
「あ、はい。何でも」
キミが出してくれるなら、別に水道水でも。
クッキーの甘い匂い。
紅茶のカップを、手に湯気越しに前に座っている君を見る。
「割りと美味しく出来たと思うんですけど。」
食べて下さいね。
笑顔に促され一枚手に。
「えーと、確認をさせて貰いたいんですけど…」
「はい?」
「ボク、キミとけ、けっ、けけ」
「…?」
「結婚、したん、ですよね?」
「はい。どうしたんですか?先輩」
不思議そうに問い返される。
いや、だって、どんなフラグを確定させて
こうなったのか、全ボクに問いたい。
「だ、あの、先輩って呼ばれるので…」
そう!
夫婦ならば、あなたとかあなたとか…
…目の前にいる君に、そんな呼ばれ方されたら正直床転がるかも。
そんな事を考えて見つめれば、あの、え、と。と頬がどんどん赤くなる君に
「す、すみません。つい、馴染んだ呼び方で」
そうですよね、夫婦ですもんね。
何だか納得した風に君は、ぐっと拳握りしめボクへ顔を向け微笑んだ
「…悠吏先輩」
「…て、え、先輩どうしたんですか?」
不覚
我が人生に悔い無し
すざまじき破壊力にソファのクッションに、顔を埋め起き上がれない。
「先輩?予鈴が鳴りますよ。」
「よ、予鈴?」
え、ここは家だよね。
視界に入ったのは、青空をバックにした制服姿の君。
「あ、あれ?」
「ふふ、先輩が屋上でうたた寝なんて珍しいですね。」
…笑顔で、おはようございます。と言われて
キミの顔を見つめれば、一気に顔に血の気が上がる。
「ぁ、ああのっ!何か、何か言ってましたかボク」
「何も言ってないですよ。大丈夫です。だけど、何だかとても幸せそうでした。」
どんな夢を見てたんですか?
「み、見てません。いや、えっと、忘れました」
忘れてないけど。
言える筈もない。
「そうなんですか?あ、そうだ」
これ、さっき調理実習で作ったんですけど。
可愛い小さな袋を差し出され、条件反射で受け取る。
甘い匂い。
「…クッキー…?」
「当たりです。イチゴ味にしたんです。」
先輩、イチゴお好きですよね。
お裾分けです。
ニコニコと、日だまりみたいな笑顔。
「有り難う…」
そうか、夢だったんだ。
ボクが三次元で、あんな風になる訳がない。
「…先輩?大丈夫ですか?」
力なく笑うボクにキミは、相変わらず優しい。
「大丈夫です。何か…すごく、良い夢だったんだ。」
だから
目が覚めて
身の程を知ったと言うか
「そうなんですね…それじゃあ、正夢になると良いですね。」
「…え?」
キミは、いつもの笑顔で
「先輩の、見た夢。正夢になると良いですよね。」
「な、なると思う?」
「はい、先輩なら叶うと思います。」
頑張って下さいね。
「これ、いただきます」
夢で食べられなかったクッキー
袋から取り出して一枚噛る。
サクサクした食感と甘い匂い。
キミみたいだ。
「すごく、美味しい。有り難う」
「はい」
キミが正夢になると良いって言ってくれたから。
キミに。
ボクのお嫁さんになって下さい。
言える様に、これからもっと頑張ります。
視線合わせボクはキミと微笑み合った。
おわり。
ヒロイン視点夢オチと聞いたので。
逆が良いなー。
と、思いまして書いてみた。