「やべぇ」
車から降りてきた男が呟いた。
「どうなの?」
もう一人は女だ。
二人はぼくに近付いて来る。
「ひでぇ。」
「死んでるの?」
ほっぺたに触れる女の指。
「反応ないよ」
「・・・生きてるかもしれねぇよ」男の声が揺れる。
「さっき足が動いた」
しゃがんでた女が立ち上がって言った。
「処分しようよ」
6/29 「車に轢かれて」
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「これ使って」
彼女が私に差し出した物。
「これで穴は塞がるよ」接着剤みたいな物。
微かにいい匂い。薔薇?
「ありがとう。でも」
私は彼女の顔を見て言った。
「私には要らないわ」
私はゆっくり服をめくった。
胸には大きな穴。
風が通っていく。
でも彼女は優しく微笑んだ。
「大丈夫。私がいるから」
7/3 「穴の開いた胸」
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私はバス停にいた。
風はなくて空はどこまでも青。
汗が自然に頬っぺたを伝ってくる。
私の前には白いワイシャツを着たサラリーマン。
「遅いな」しきりに腕時計を見てる。
「バスが来た」
先頭のお婆さんがぽつりと言った時どこからか突然蝉の声。
それは「乗るな、乗るな」と言ってるように私には聞こえた。
7/4 「蝉」
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