初めは遠くで鳴く虫の声のようだった。
それがどんどんと大きく近くなっていく。
たくさんの消防車の音だ。
「近いぞ」おじいちゃんが叫んだ。
「2丁目の方じゃない?」お母さんの声。
可奈は2階の部屋のベランダに出て外を見た。
火が見える。
あれは亜紀の家の方だ。
「お母さん!ちょっと行って来る!」
夕闇の中を走りながら亜紀の携帯を鳴らす。
「おかけになった電話は」で何度も切り、また鳴らす。
「出てよ!」
まさか亜紀に何かあったなんて考えたくなかった。
だんだん煙と湿った臭いが強くなる。
人もたくさん集まっていた。
道には消防車や他の車もいて可奈はなかなか進めなかった。
9/3、9/5 「黒7.8」
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「おじさん、いる?」
その人は白いTシャツにジーパンって格好であまりにも普通だった。
けど
「う、うん」
そう言って顔を見たら笑顔がとっても輝いてる。
誰だろう?
そう考えていたらお父さんが玄関に出てきた。
「おう、来たか!上がれよ」
「お邪魔します」
私はなぜかずっと目でその人を追いかけていた。
9/7 「初恋っての?」
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やっと眠りに落ちそうになった時枕元でバイブの音がした。
厚子だ。
「ごめん、六本木の駅まで来て」
熱いお湯で顔を洗っただけでカーディガンを羽織る。
「すぐ行くわ」
一言メールを入れると車のエンジンをかけた。
何度目だろう、こういうの。
よそう、考えるな。
「ありがと」
その言葉が欲しいだけなのだ。
9/8 「night drive]