高齢化社会の日本が決して目を背けてはいけない愛の物語。
この映画の序盤で夫が妻を車椅子から立たせるシーンがある。
身体を寄せ合いながら支え合うその姿はまるで社交ダンスのようで、自分はそのシーンを観て愛する者同士の介護は美しいと感じた。
しかし、そのような考えは甘かった。
物語が進むに連れて現実という鈍器で頭を殴られていくような感覚だった。ピアノを優雅に弾いていたあの妻が、虚ろな表情で痛い痛いとただ繰り返し呟く姿には目を背けたくなった。
妻が目に見えて弱っていく一方で、夫は感情をあまり表に出さないせいか、あまり変化を感じない。
だがこの映画の終盤で音を立てて崩れる瞬間がある。
そう、夫は妻と約束していたのだ。
