高層階の個室に入院中の母。
その部屋から目に入る風景が、とても美しい。
病気であることも、しばし忘れてしまうほどの眺めです。
夕食の時間になると、母はわざわざ眼鏡を取り出します。
そして、眼下に広がる景色を眺めながら食事。
まるで、風景をおかずにしているようです。
「よく見えるわ」と言いながら、食事に舌鼓を打っています。
……とはいえ、いわゆる病院食なのですが(笑)。
それでも、目の前にこんな景色が広がっていれば、食事の時間も少し楽しみになるのかもしれません。
そして、この部屋にいてふと思ったこと。
これだけの景色があれば、カーテンはいらない。
普段、住まいのインテリアを考えていると、どうしても家具や照明、カーテン、壁や床といった「室内」に目が向きます。
けれど、窓の向こうにあるものもまた、空間をつくる大切な要素。
庭であったり、緑であったり、街の風景であったり。
そこにある景色を室内に取り込む「借景」は、空間を豊かにしてくれます。
以前、別の場所で感じた「借景」の美しさを、まさか母の入院先であらためて実感するとは思いませんでした。
一日も早い回復を願いながら、
母の病室から見えるこの景色を眺めています。
そして、インテリアの仕事をする者としても、
住まいの窓から何が見えるのか。
その景色を、どう暮らしの中に取り込むのか。
そんなことを、あらためて考えさせられています。
空間は、部屋の中だけで完結するものではないのですね。
ブログでは、「インテリアが大切な理由」をテーマに、暮らしや住まいにまつわる気づきをお届けしています。
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