昨日、「ホンモノ」について考える機会がありました。

何世紀もの時間を超えて残るもの。

時代が変わっても、国が変わっても、人の心を動かすもの。

そして翌日。

まるでその答えの続きを見せてもらうような出来事がありました。

所属するライオンズクラブの例会で、suzusanの村瀬弘行さんにご登壇いただいたのです。

しかも会場は、先日訪れたコンラッド名古屋。

10階のエレベーターを降りた瞬間、目に飛び込んできたのは、suzusanの作品でした。

有松鳴海絞りの「手筋絞り」。

一枚一枚が異なる、まさにonly oneの存在感。

「飾られている」と聞いてはいました。

けれど、実際に目の前にすると、聞いていたのとはまったく違う。

その迫力と美しさに、思わず足を止めました。

そして、その翌日。

その作品を生み出している村瀬弘行さんご本人のお話を伺う。

偶然とは思えない、不思議なつながりを感じました。


有松からドイツへ。そして世界へ。

有松鳴海絞りは、400年以上の歴史を持つ伝統技術です。

その長い歴史の中で培われてきた技術を、村瀬さんは「そのまま残す」のではなく、新しい時代の価値へとつなげていきました。

2008年、ドイツ・デュッセルドルフでsuzusanをスタート。

「有松でつくる」という部分は大切にしながら、デザインや見せ方を変え、ストールからウェア、ホームコレクションへと展開。

現在では世界29か国、120店舗以上で展開されるまでになっています。

これはまさに、

「変わることによって、残る」

ということなのではないでしょうか。


伝統と革新は、反対ではない

私は最近、「変わるもの」「変えるもの」についてよく考えます。

伝統を守るというと、どうしても「昔の形をそのまま残す」ことを想像してしまいます。

けれど、本当にそうなのでしょうか。

時代が変われば、暮らしが変わる。

暮らしが変われば、求められるものも変わる。

だからこそ、技術の本質を残しながら、表現を変えていく。

村瀬さんの活動を見ていると、

伝統と革新は対立するものではなく、
むしろ伝統を未来へつなぐために、革新が必要なのではないか。

そんなふうに感じます。


きんさん、ぎんさんも喜んでいるかな

そして今回、もうひとつ思い出したのが、きんさん・ぎんさんです。

あの、名古屋で一世を風靡した双子のお二人も、若い頃には有松で絞りの括り仕事に携わっていたそうです。

そう思うと、なんだか不思議な気持ちになります。

かつて有松の町で、一針、一括りに向き合っていたお二人。

その技術が、今では海を渡り、世界の人々の暮らしやファッションの中に新しい姿で存在している。

もし空の向こうから見ることができたなら、

「有松の絞りも、ずいぶん変わったねぇ」

なんて、笑いながら眺めているのかもしれません。


そして、私自身のこと

ここのところ、本当に不思議なことが続いています。

地域の素材。

古い町並み。

知多木綿。

有松絞り。

コンラッド名古屋。

人工美と自然美。

ワイエスの絵。

そして「ホンモノ」。

一見すると、別々の出来事です。

けれど、私の中では少しずつ一本の線になってきています。

美しいものを見る。
その背景を知る。
そこに関わる人に出会う。
そして、自分なりの言葉で伝える。

もしかしたら、これが今の私に与えられている役割なのかもしれません。

インテリアコーディネーターとして、空間をつくる。

それだけではなく、

その空間を構成する素材や技術、
そこに込められた人の思い、
土地の文化、
受け継がれてきた時間。

そういうものまで含めて「美しい」と感じ、
それを次の誰かへ伝えていく。

そんな仕事もあるのではないか。

最近、少しずつそんなことを思うようになりました。

まるで物語を読んでいるような、この夏からの出来事。

そして私は、その物語の主人公として(笑)、
さまざまな経験をさせていただいています。

これからどんなページが待っているのか。

まだわかりません。

でも、焦らず、狙わず、
ひとつひとつの出会いを大切にしながら、

粛々と、自分の歩みを続けていきたいと思います。


ブログでは、「インテリアが大切な理由」をテーマに、暮らしや住まいにまつわる気づきをお届けしています。
 

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