ホテルを訪れるとき、私はどうしても職業柄、インテリアを見てしまいます。
家具、照明、カーペット、壁、素材の組み合わせ……。
そしてもうひとつ、最近特に気になるのが、
「この空間には、その土地らしさがあるだろうか?」
ということです。
先日訪れたコンラッド名古屋でも、そんな視点で館内を歩いていました。
ふと目に留まった「碁盤の目」
写真は階段まわりの一角。
壁面のアート、床の大理石、手すり、植栽。
一見するとシンプルな空間なのですが、私が気になったのは、随所に感じられる縦と横のラインでした。
館内を見渡すと、カーペットの柄や照明器具などにも、格子や交差するラインを思わせるデザインが見られます。
そこで、
「これは栄の街並みを意識しているのかな?」
と思ったのです。
調べてみると、コンラッド名古屋は、名古屋の街並みや文化、ものづくりの精神を表現することをデザインの大きな要素としており、外装デザインのコンセプトも「紡ぎ、織りなし、纏う」。
栄という街の中に建つホテルだからこそ、街とのつながりを意識したデザインになっている。
そう考えて館内を見ると、また違った景色が見えてきます。
「その場所だからこそ」のデザイン
最近、ホテルや商業施設を見ていて感じることがあります。
地域の素材を使う。
伝統工芸を取り入れる。
その土地の文化や歴史をモチーフにする。
こうした「地域性を取り込むデザイン」が、以前よりずっと増えてきたように思います。
それは、単に「地元のものを使えばいい」という話ではないのだと思います。
大切なのは、
その場所である必然性を、どう空間に落とし込むか。
例えば今回のように、街の構造そのものをデザインのヒントにする。
それは、地域の素材を使うこととはまた違った、ひとつの「地域性」の表現です。
住宅にも同じことが言える
これは、住宅のインテリアにも通じると思っています。
インテリア雑誌に載っているような素敵な家具を揃える。
流行している素材を使う。
人気のホテルのような雰囲気にする。
もちろん、それもひとつの方法です。
でも、それだけではどうしても「どこかで見た空間」になってしまう。
その人が暮らしてきた場所。
好きだった風景。
旅先で出会ったもの。
家族から受け継いだもの。
あるいは、その土地ならではの素材。
そういうものを少しずつ重ねていく。
すると、そこにしかない空間が生まれます。
私はインテリアコーディネーターとして、最近ますます、
「美しい空間をつくる」だけではなく、
「その人、その場所だからこそ生まれる空間をつくる」
ことが大切なのではないかと思うようになりました。
コンラッド名古屋の館内を歩きながら、そんなことを考えていました。
そして、こうして「なぜ、このデザインなんだろう?」と考えながら空間を見るのは、やっぱり楽しい。
ホテルは、泊まるだけではなく、
その土地を知るためのひとつの入口にもなるのかもしれません。
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