職場近くの神社に、

小瓶のお酒をお供えする。

 

四合瓶とか一升だったら、

のし紙を巻いて、社務所へお預けするけれど、

ささやかなサイズは、

フタを開けてしばらく置いて捧げ、

後は持ち帰ることにしている。

社務所の方にとっても、

(仮に未開封でも)

小さいのをゴロゴロ貰ってもどうなんだろう、

と思うからだ。

 

で、置いてから、

少し離れたベンチで休んでいると、

次の参拝者のおばさんが、

賽銭箱の前で妙にゴソゴソいつまでもやっている。

 

その人が立ち去ってから、

行ってみると、

お酒がなくなっていた。

 

「……」

 

おばさん、

フタを(瓶の傍に置いていた)締めて、

持ち帰ったな。

 

良い方に解釈すると。

おばさんはこう思ったのかも知れない。

「フタを開けたまま置き去りだなんて。

開けちゃったら、お酒も長持ちしないし、

置きっぱなしじゃ神社の方にも悪いわ。

私が処理してあげましょう」

 

ベンチにいるこちらに、

気が付いていなかったのだろう。

(自分なら見回すけど)

 

この場合は、まぁいい。

神様や神社側への配慮あらばこそ。

 

別の神社だが、

ある日、妙に石灯篭が気になって、よく見たら、

中に腐った果実が入っていたことがある。

コバエがわいていた。

まだ新鮮だった時に、

誰かがいたずら心で入れた、無邪気さを感じた。

悪意はないだろうが、不衛生なので、

手持ちのレジ袋に入れて持ち帰り、捨てた。

 

おばさんも、そんな感じだったのかな。

 

と思いたいが、

今買ったばかりの冷蔵の冷酒である。

十分、触れば冷たい状態だ。

「誰か供えた人がまだいるのでは」

と思わなかったのかな。

 

そして、

フタする位で置いておくならまだしも、

新鮮なお供物を持ち帰る、

ってやっぱり、普通じゃないと思う。

 

境内のものは、

葉1枚でも、小石でも、

取って持ち帰ってはいけない、これ基本。

(知らない間に入っていたとか、

神社さんが許可したとかなら別)

例外は明らかな「ゴミ」だろう。

自分もよく、お菓子の包み紙とか、

よれよれの輪ゴムとか、拾っては後で捨てている。

紙屑は意外とよく見かける。

 

仮に落とした人がそこにいたとして、

「包み紙返せ」なんて言うわけがないし。

て言うか、捨てるなよ。境内じゃなくても。

 

神様を思っての親切(またはお節介)でも、

汚いゴミはいいとして、

新鮮な状態の供物は、

さすがにまずいのではないか?

 

おばさん的に、

「それもゴミよ」

なら、持ち帰って流してくれたらいいが。

(既に神様はお召し上がり済みだろうし)

飲んだりするのなら、

結局、盗んだことになる。

 

「捨てるのももったいないし」なら、

一見、綺麗ごとだけど、

私利私欲が生じた、って事でしょ。

 

他人のお供えを無断で持ち帰る発想がなくて、

驚いた。

それもご神前で。

仕事柄、奇人変人は珍しくもないけど、

色々な人がいるもんだ。

 

開封したものとか、生ものを、

置きっぱなしで去るのはもちろんアウトだが、

こちらはちゃんと、待っていたわけでね。