前回の続き


大金を的中させて以来、自分は完全にツイているんだと確信していました。面白いように馬券が当たり、ここぞという勝負の時には100万円以上の払い戻しを受けることもありました。


しかし当然ツキは長くは続きません。


そうなってくると、賭け金も加速度的に増えてきます。一度外しただけで、つまり数分で自分の年収くらいの金額がなくなってしまう経験もしましたが、吐き気がするくらい落ちこみはすれども、へこたれはしませんでした。翌週には、さあ取り返すぞという気概に満ち溢れているのです。


もう完全に阿保です。


自分の場合、いくら痛い目にあおうが、ギャンブル依存の渦中にある限りは効き目がなかったのだと思います。
いわゆる"負け追い"しか採るべき行動を考えられないのです。負け追いには、セットで賭け金の倍増も付いてきます。


そして、ギャンブルの負けはギャンブルで取り返すぞ精神のために、中央競馬だけでは心許ないと判断した自分は(時系列で言えば、もっと後になって手を出したものもありますが)最終的には投機的な株式取引、地方競馬、競輪、オートレース、競艇と色とりどりのギャンブルに満遍なく参加するに至りました。
その中にパチンコが含まれていないのは、場所まで行くのが面倒だし、どうにか行ったとしても知らない人のすぐ傍で騒音の中過ごすことがとても耐えられないからです。


そう考えると、何処でもギャンブルをできるインターネットを使った投票システムが、のめり込むことになった大きな要因のひとつだと思います。
携帯のプランを通話のみに切り替えて、自宅のネット環境を解約すれば、今のような状況には陥らなかったかもしれません……。


話を戻します。
負け追いをする人が往々にしてそうであるように、自分も更に傷口を広げることになりました。
行き着く先は種銭の枯渇です。


賭けるお金がないのです。


日本の名だたる大企業のサラリーマンの数年分の年収くらいを、ギャンブルだけで散財していたので、当然の帰結です。
ちなみに、その間勝つことももちろんありました。世間的に大勝ちと呼ぶことのできる的中も何度もしました。しかし、大勝ちしても全部結局はギャンブルに消えます。
当時の状況は、負けるためにギャンブルをしていたようなものです。
最早後ろには引けないし、なんだか背水の陣をかまえた敗兵みたいですが、とにかく突き進む(賭ける)しかないという気持ちがありました。


土日の中央競馬がだいたい16時過ぎに終了しますが、高知競馬などの地方競馬はさらに遅くまで、競輪のミッドナイトに至っては23時過ぎまで投票することができます。
もうイヤだ、発走表なんて見たくない、という気持ちもある一方で、それら次なるギャンブルにいざなわれ、闇雲に突き進むしかありませんでした。



23時を過ぎると、ひとまずその日のギャンブルが終了します。
罪悪感や倦怠感や喪失感などがごちゃまぜになった気持ちで、消えてなくなりたいと切に願いながらお酒を飲み始め、酔いに任せて眠りにつきます。そして数時間後には仕事に向かいます。


こういう生活が5年程続いています。
不健全きわまりないです。
何度も言いますが、闇雲に突き進むしかありませんでした。