そのネイル素敵な色ですね。
新色ですか?
カウンターに訪れた私は、
応対した彼女に
表情もかえず声をかけた。
一生涯この人とは言葉を
かわしたくないと
心に誓っていたのに。
彼女は幼い息子と娘と彼を
彼女と彼が公園に遊びに
行っていた数時間の
間にすてた。
カーテンも、洗濯機も
何もかも
生活する為の全てを運びだし
全てをすてた。
確信犯。
そんな母がこの世には存在する。
若かったではすまされない。
彼女は彼女が愛した新しい
男と行方をくらました。
そしてまた自分の都合で
元に戻り
そしてまた居なくなった。
彼と私が友人だったという
ことに彼女はきづくことが
ないだろう。
彼女とは何度か職場の近くの
飲食店でばったりあった。
彼女は、知らない誰かの会話にも
すんなり交わる気楽な人。
自分のすてた娘が今どこにいて
何を思うか。なんて考える
余地もないようにみえた。
彼氏の話を大きな声で
誰かと交わす人。
私にとっては雑音だった。
そんな全てが嫌いだった。
彼女の娘が中学生に
なったとき 所謂非行に
はしるようになった。
その娘の心の闇はとても
深く複雑なものだったのかも
しれない。
その娘は色々を
くりかえし高校生にはなれず
施設に入ることになった。
私は彼も許せなくなった。
またすてるの?
仕事で見れないなら
私が見てもいいよ。
娘に話してみて。
何度か手をさしのべたいと
望んだけれど
知らない人の元に
彼女の手はのびる事はなかった。
あの娘が違っていって
しまう話を聞くたびに
彼女を受け入れられない気持ちを
いっそう強くした。
飲食店で大きなテーブルの対面
に座った彼女のタバコの
煙に 回りに心配される程に
むせてしまった事がある。
彼女は
ごめんなさい。
煙草だめなんですね?
と気を遣ったが
私が駄目なのは彼女だった。
彼と連絡をとらなくなって
1年の月日が流れた
時間の経過と共に
憎しみも薄れてしまったのか。
あの娘は今どうしているのだろう。
このネイルを見るたびに
そんな事を思いだす。
Android携帯からの投稿

