深まる秋と切ない現実。 | 父と家族の末期がん闘病記

父と家族の末期がん闘病記

2012年6月末、当時65歳だった父が突然、末期の食道小細胞がんとの診断を受けました。
現実と向かい合うため、父との日々を忘れないための記録ブログです。


気付けばもう11月。

2ヶ月半の実家滞在を終えて私が別府に戻る日まで、あと1週間となってしまいました。



父の体調は何の治療もなしに好転することはなく、日に日に体力を奪われていっています。


つい1ヶ月前まで、時間を見付けてはバイクにまたがりお出掛けしていたのに、今ではリビングのコタツの中でぼーっとTVを見たり、横になっている時間が長くなってしまった父。

近所にお散歩に出掛けるのもやっとの様子。

健康な人なら片道10分程度で着いてしまう海辺まで、今日は往復2時間、しかも母の支えを借り、やっとの状況で散歩に行ってきたと話していました。



そんな状況下、昨日また、ダンナさんが片道75キロの道のりを自転車を漕いで実家まで来てくれました。


4人で近所のラーメン屋さんでランチを食べた後、ダンナさんと二人で箱根までドライブへ。

夜は家族4人で楽しく夕食を一緒に食べ、ダンナさんは我が実家に一泊。

今日はまた、ダンナさんと二人で幕張の自転車展示会にお出掛けしてきました。


体も心も弱りきっている父を尻目に夫婦二人だけで出掛けてしまうのは気が引ける半面、夫婦円満を心から祈ってくれている父に、ダンナさんと私が仲良くしている姿を見て安心してもらいたいという気持ちです。



そして、今日は一人帰宅した私に、


 「 遺言だよ。言いたいことを、言えなくなってしまわないうちに・・・

  俺が死んだ後も、自分の娘たちが間違った方向に進むことがないように、天国から見守っているからな。 」


と言い、父はダンナさんが来てくれたことへの感謝と、これからも夫婦円満で仲良くして欲しいと言うので、私も母も涙なしに夕食の箸をすすめることができなくなってしまいました。



明日から父はまた入院し、抗がん剤(タキソテール)治療を受けますが、確実に自分の死期を迫っていることを自ら感じている様です。


 「 無理に長生きはしたくない。もう死んでもいいと思ってるよ。 」


父がそんな風に言うのを黙って聞いているのが、本当に切なくて、悲しくて・・・



私も父に残された時間の中で、自分が後悔することのないように、深まる秋を過ごしていきたいと思います。