酔っ払いが泳ぐように街を行き交う午前三時。



ゴミ袋が饐えたにおいを放つ路地に、救急車が音もなく滑り込む。

赤い回転灯が雑居ビルの壁を撫でる。



怒号と嬌声を縫ってぬるぬると進むタクシー。

火がついたままの煙草が赤い弧を描き、アスファルトにコツンと落ちる。



それが合図だったのであろうか、あるいは誰かが耳許で囁いたのか。

また誰かが倒れる。

例の歌のように、また誰かが倒れる。





世界を朧げに彩る光の渦はアルコホールに溶け、脳内を白くぼやかしている。

多分、ここには真の暗闇は存在しないのだろう。



街はただ、産まれる欲望を飲み込み続けてブクブクと肥え太る。

終わりのない楽園は行き場のない地獄に等しい。

目に見えるものだけを追いかける者は、いつしか目に見えないものに追い詰められる。



享楽に浸かる若者にも、地球を我が家とする老人にも朝は平等にやって来る。

それは優しさなのか厳しさなのか、はたまた冷たき無感動か。



すべては透明の膜越しに繰り広げられる夢のように、儚くたゆたう物語の一つになる。



そして朝日が空を薄紫に染める時、囁き声はもう聴こえない。





それを幻聴と君は呼ぶ。



 この季節の午後四時といえばまだ明るい。

 

 ファストフード店やタピオカドリンクを売る店、洒落たカフェや雑貨屋が軒を連ねるメインストリート。

 マラカスが軽快なリズムを刻みホーンセクションが陽気なフレーズを奏でる。どこからともなく聞こえてくるBGMを気にとめる者はいない。

 

 街はまだ昼の顔をしている。

 

 交差点の信号が赤から青に切り替わり、派手に着飾った若者や観光客たちがさざめきながら横断歩道を渡る様子は体をうねらせて進む蛇のようだ。

 その大勢同士が交わり誰もがぶつかることなく器用にすり抜けていく。

 

 広場には待ち合わせや時間つぶしのために佇む様々な顔、けれども違う顔は一つとして存在しない。

 たこ焼きを焼く油の匂いが道往く人々の鼻をくすぐる。

 いつの間にかできていた新店舗がいつの間にか幅を利かせ、創業一週間の「名物」に群がる人々が小さなレンズに向かってピースサインを作る。

 

 ライブハウスはすでに夜の狂騒に向けて息づきだしている。

 ハコ全体を振動させるバスドラムの響きは鼓動だ。

 人知れず地下で目を覚ました怪物が飢えた目をしたバンドマンたちを胎内に抱え、地鳴りのような音を喰って虎視眈々と膨らんでいく。

 数時間後には客を飲み込んで咆哮を上げ暴れまわるだろう。

 

 

 この季節の午後四時といえばまだ明るい。

http://luvlife.hatenablog.com/entry/2013/08/07/221155

 

すごい記事を読んだ。

 

http://anond.hatelabo.jp/20130809115823

 

そしてこの記事。

 

 

 

 

大学に入りたての頃、パソコンを知らない子がいた。

地元ではみんな、家族も友達もミクロソフトって呼んでる、と言っていた。

 

その時はその子がよっぽど天然なんだと思った。でも、本当にそういう世界があるんだと、この記事を読んでやっとわかった。

そして、信じられないと思ったことこそが、「溝」なんだとも。

 

他にも、大阪で育った子で、中学校では生徒がバイクで廊下を走ってたと言う子もいた。誰も注意しなかったと。

私の中学校では堂々とそんなことをする子はいなかった。同じ大阪でも、ずいぶん環境が違う。

私はどちらかというと高学歴の世界に生きてきたんだと思う。

 

 

 

 

今でも時々「溝」を見ることはある。

 

ある人と喋っていて、今日は「土蔵」が通じなかったし、「楠木正成」が通じなかった。自分ではどちらも常識だと思っていたからびっくりした。どちらも教科書で見たことがあるから。

そんなことは案外どこにでも転がっている。だからこそ根は深い。

 

代わりに私は、テレビに出ているような芸能人のことは何も知らない。

詳しい人は、まるで知り合いみたいに芸能人のことを話す。いつも不思議だなと思う。

でも知らなくても、家にテレビがなくても、生きていくのに困ったことはない。

 

それと同じで、その人は、土蔵が何であるかや、湊川神社が神戸にあって楠木正成を祀っていることなどを知らなくても生きてこられた。

私も歴史上の人物について見てきたみたいに話すことはある。不思議に思われているかもしれない。

 

芸能人のことはテレビを見ないとわからない。けれど、歴史のことは中学で勉強する。

だからみんな知っていると思っていたけど、そういうわけでもないのだろう。

 

 

 

 

興味があることはみんな違う。

生きてきた環境もみんな違う。

なんとなくわかっているつもりだったけれど、改めて色々考えさせられました。