「なぜだ!なぜ変身しない?」
後ろから隆はこえをかけてくるが当の淳は震えて動けない。
淳はもし変身すれば自分は死んでしまうからだ。だが隆はそれを知らなかった。
鼓動は早くなり、呼吸も荒くなる。
死を実感していた。
「大丈夫か?」
隆も駆け寄る。
だがこうしている間にも黒い巨人は大地を炎に変えていく。
「呼吸がより早くなっていってる・・・・。」
隆は心配してしまう。
「一度あいつに負けてるから戦わないのか?」
隆は質問する。
「ち、違うんです・・・・。ぼ、僕は・・・・。」
淳は声が震える。
だがこうしている間にも黒い巨人は大地を灰に変えていく。
「次なら勝てる!一度負けたんだ、次こそは勝てる!」
隆の声は淳に届いたが、それでも恐怖は変わらなかった。
隆の言葉はオーバーではあろうが、自殺をほのめかすような発言にも捉えられた。
淳は人を殺した事がある。それは部活の仲間だった。彼にとっては仲間ではなかったのだろうが、人を殺した事にかわりはなかった。
殺されたあの子たちも死ぬ寸前はこのような何かわからない恐怖に怯えていたのだろうか。
とも考えた。
「また美智子ちゃんみたいな子を作る気か!お前は!」
隆は淳の目線に合わせ、両肩を持つ。
「確かに戦う事は怖いだろう。俺の想像を絶する事だと思う。でもお前が戦わなきゃみんな死んじまう。こうしている間にも1人、また1人と死んじまっている。俺はもう誰かの死体なんか見たくないんだ。」
隆の言葉は少しだけ淳の心の窓を開けた。
何故戦うのか。それは何回も自分にぶつけてきた疑問だ。その度に回答が変わっていった気がする。
黒い巨人が放った光弾が病院を爆発させた。
そして少年は覚悟、決心をする。
「僕、何回も同じことにぶつかってきた気がします。何故戦うのか。って。その度に答えは変わってきててなんとなくその度にテキトーな理由をつけて戦って来たんです。でも今わかったんです」
淳は黒い巨人を睨みつける。
「あんなやつのせいで誰かが不幸になるなんてまっぴらごめんだ!」
淳の答えに頷く隆。
淳は走った。公園を走り切る時、青い閃光が少年を包み込んだ。