何キロ遠のいたのだろうか?少なからずとも先ほどの風景は全く見えない。はぁ・・・・はぁ・・・・。体は休むことを要求している。
淳はあの場から逃げた。怖くて逃げ出したのだ。
頭に隆の言葉が駆け巡る。
「黙れ!うるさい!」
目の前には何もないのに手で払いのける動作をしてしまう。
「うるさい!あいつらが悪いんだ!なにもかも!」
熱い!助けてくれ!男子生徒二人の体が焼けていく。死にたくない!そんな言葉も聞こえた。
目は瞳孔を開き、極限の状態にあった。
だが、聞こえるものは幻想でしかなく、淳の罪深さをより明確にした。
「消えた・・・・」
苦しんでいるうちにその幻想は何事も無かったように消え失せた。
「僕は・・・・」
手は汗でぐっしょりと濡れ、服は体にひっつくほどの汗をかいていた。
「淳!おーい!」
後ろから自分を呼ぶ声が聞こえた。
「美智子・・・・」
振り向くと彼の彼女の美智子がいた。
「ちょっとどうしたのよ?汗だくじゃない?」
どうやら顔も相当な汗をかいてるみたいであった。
「ちょっと運動しててね。」
適当な嘘をついて見せる。
「そう言えばあなたにプレゼントがあるの!」
美智子はそう言うと手に持っていたバッグからマフラーを取り出した。
「これ!プレゼント!」
え?突然のことに淳は驚いてしまう。
「そろそろクリスマスじゃない?彼氏に手編みのマフラー位はあげたいじゃない? 」
かなり照れて美智子は言う。唇を手袋で隠す。
「みんなこんな酷いけど私はやっぱり好きな人には少しでも笑ってもらいたいの」
美智子は満面の笑みで応えて見せる。
「ありがとう・・・・」
気がついたら淳は彼女を抱きしめていた。
「ちょっ!?えぇ?!えぇ?! 」
彼女もいきなり抱きつかれて慌てふためいている。
驚いたのか10秒もすると彼を突き放してしまった。
「私達まだ早いよぉ!」
かぁーっと完熟したりんごの様に頬を染める美智子。
「ご・・・・ごめん・・・・。」
2人照れくさそうに地面を見る。ただのコンクリートも少し光って見えた。
ドン!二人の照れくささを引き裂くようにあまりにも大きな物音が鳴る。
キシャァァァァァァァ!
上を見上げるとそこにはUBがいた。
「か・・・・怪獣・・・・!」
光線を放ち、我が物顔でこの街を闊歩するUB。
ズシンズシンと大きな足音がよりUBの巨大さを増させた。
その光景を見た美智子に先ほどの赤いりんごの頬はなく、恐怖で青く染まりつつあった。
「に・・・・逃げなきゃ!」
美智子は淳の手を引っ張り避難所へと連れていこうとする。
「ごめん、僕は避難所へは行けないよ。」
淳は美智子の手を振り解く。
「な、何こんな時に馬鹿な事言ってるの?」
美智子の言ってるように淳も逃げたかった。
「今、僕は美智子に返すプレゼントは無いけど・・・・君が明日も笑ってられるように今から頑張るよ。それが僕からのクリスマスプレゼントのお返しでいいかな?」
「な、何言ってるの?」
「君には本当の僕の姿を見て欲しいから・・・・」
淳は首にぶら下げていた青いブレスレットを外す。
「巨人!僕に力を!みんなの明日の笑顔を守る力を!」
大空にブレスレットをかざした。ブレスレットが強烈な青い光を放ち、美智子は瞳を右手で隠してしまう。
光が終わり、隠していた右手をどけると目の前にはまるで大きな足のオブジェのようなものがある。人の何倍もある。
そして上空を見上げる。
「巨人・・・・?」
「淳は巨人だったとでも言うの?」
美智子は巨人を見上げて言う。
美智子を一瞥し、巨人はUBに立ち向かう!