「こちら実。やはりUBの手がかりは見つかりそうにもない。」
実はタバコを吸いながら耳にかかった小型無線機で通信する。
彼は今、UBが穴を掘って脱出した場所にいた。
「了解。だが、もう少し調べてくれないか?」
応答主は拓也だった。
「だから無いって・・・・」
ため息をついて返すも拓也には根拠があった。
「UBが地中を掘った周辺には地下駐車場があったはずだ。少なからずそこにも被害が出てるはずなんだ。」
拓也は冷静に分析するが、
「それももう調べたが見つからないな。駐車場周辺はUBが出てきていても機械は正常に稼働していたそうだ。」
「ならどうやってあの巨体を隠す?あんなでかいのを隠すなんてよほどのスペースがないといけないはずだ。」
拓也の意見は至極真っ当なものであったが、
「わからん。地下に潜ってすぐに縮小化する。とかなら辻褄あうんだがな。」
これは科学者としての扱いも受けていた実としての言葉としてはひどいものだった。
「もしそれが本当ならこの地球上の生物の常識は無かった事になるぞ。」
それはそうだ。大の大人がなにもしていないのにいきなり縮むのである。それも赤ちゃんより小さいサイズに。
「相手はUBだ。俺たちの常識が意味を持たないという可能性もある。」
そう言い放ち、吸い終わったタバコを捨てる。
「発生も無いというのか・・・・?」
発生とは生物が起こるすべての始まりであるが、なぜかそれも疑いたくなった。
「さあな。UBの世界じゃ手を繋げば子供が産まれるのかもしれんしな。」
実はそう言い、少し汚く笑ってみせた。
「もう一つの空を飛んでいたUBはどうした?」
「あれはダメだ。そこそこ探したが破片の1つも落ちちゃいねえ。」
「飛行するUBなんて初めて見たんだ。意地でも見つけて対策を立てたい。」
「巨人が早急にUBを倒す。他なんか対策あるのかよ?」
実の言うことは図星だった。今のUBに対する対策はそれしかなく、開発した武器が役に立った覚えは無く、無力だった。
「大の大人が子供一人に頼りっぱなしってのが恥ずかしくてな。」
電話越しに聞こえて来る拓也の声は聞いてる実も情けなくさせた。
「まあ考えても仕方ないさ。とりあえず新兵器の開発とまだ終わってない宿題について脳細胞を使うことにするさ。」
「まだ終わってない宿題?」
実の言葉に聞き返してしまう拓也。
「いつぞやのガキの事件のことさ。まぁとりあえず切る。そっちに戻ったらまた頭を働かせる事にするさ。」
実の電話はそれで切れた。
「すいません、こいつ急に倒れてしまって・・・・。」
いきなり倒れた淳を背負って保健室まで来た隆。
「あとはこちらで彼の面倒は見ますよ。」
そういって保健室の先生は淳をベッドに寝かせ、カーテンを閉める。
中年のおばさんの女性だった。
「どうもすいません。」
隆は深々と頭を下げる。
「では、俺はこれで。」
隆は外に出てベンチに座る。
「僕が殺したんです・・・・」
淳のそんな言葉が頭を駆け巡る。
誰を?何を?なんの目的で?分からなかった。
ただ一つ一番ひらめいてはならないならない事をひらめいてしまった。
2人の少年は淳によって殺された。という事だった。
だが、殺し方に辻褄が合わなかった。
公式の発表はまだだが、淳には先輩2人を殺せる力は無いと思っているからだ。
言葉の意味は最後まで分からなかった。
「あいつは一体何が言いたかったんだ・・・・」
とりあえず現場に行ってみることにする。殺された現場に。
「俺には分からないことが多すぎる!」
そう言って隆は現場に走った。
現場は隆がいた場所からそう遠く離れていなかった。
1階トイレの裏。
東校舎のそこはあまり人が通らないところでもあった。
「一体ここで何があったんだ・・・・?」
さすがにもう死体は撤去されており、keep outや立ち入り禁止と書かれた黄色いテープが貼られていた。
「ここで一体何が・・・・?」
そこに踏み入れると隆は光に包まれた。
「全ては君に繋がっている・・・・」
謎の声に導かれ、隆は後ろを振り向いた。
そこには光があった。それは人の形をしていた。
顔は無く、光をそのまま人の形に投影しました。というものだった。真っ白な光だった。
「巨人・・・・?」
間違いは無かった。赤い十字のマークが見える。そしてシルエットが巨人そのままにしか隆には見えなかったからだ。
「君がそう呼ぶのなら私は巨人を名乗ろう・・・・。」
落ち着いた男の声だった。
「君とは2回目・・・・いや、ここでは初めてか。」
「俺はあんたみたいな不気味なのにあったことないよ。」
巨人の意味のわからない言葉を軽快に返しながら話は続く。
「お前は一体何者なんだ?何を求めてここへ来て、何の為に俺たちに力を貸す?UBとは一体なんなんだ? 」
隆は積もに積もった疑問の山をぶつける。
「君の質問に答えてはみたいが生憎私にそんな時間は無い。」
巨人は淡々と返す。
「ふざけんな!お前は俺たちに説明する義務があるはずだ。」
落ち着いた巨人とは反比例するように感情的になってしまう隆。
「私も2年ぶりに人類と話せると思い、楽しみにしていたが、先程も申したように、時間がないのでね。」
巨人はそう言うと手を大空に向かって開いた。
そうすると青い大空が白く染まっていく。地面も、学校も。近くの山でさえ。
「なんなんだよ!これ!」
意味のわからない状況に陥り、パニックのようになる隆。
全てが白に変わり、巨人のシルエットと赤い十字のエンブレムがなんとか認識出来るほどしか無かった。
「君には特別に真実をお送りしよう・・・・。後ろを見て欲しい・・・・」
隆は言われるがまま後ろを向く。
そこには淳がおり、それを取り囲むように制服を着た男子生徒が2人いた。
「なんだよこれ・・・・」
男子生徒2人が口汚く淳を罵っている。
この風景は・・・・イジメだ。
「これが・・・・真実・・・・?」
そう独り言を言うと巨人は静かに頷いた。