おめざめかね。
ドアが開き、所長こと黒柳拓也が部屋に入ってきた。
「てめえ・・・・何しやがった! 」
隆はまだ怒っていた。
「それはこっちのセリフですよ。あなたはこの研究所のシステムを勝手にダウンさせた。困りますよ。機械は精密なんですよ?」
んだとぉ!
隆は胸倉を掴み、拓也を殴ろうとした。
「また眠りたいんですか?」
拓也は冷静に応答する。
「なんだと!」
ちょいちょい、と拓也が指さした方向にスナイパーのようなものを構えた男がいた。
それも隆がいたベットの前にあったクローゼットのようなところに。
「どんな隙間にいるんだよ・・・」
と隆は思ったが秘密を抱えた組織なんてそんなもんだろうとすぐに合点した。特に自分のように中途半端なやつには。
「彼らはこの研究所の至る所にいる。秘密を過剰に知りすぎてしまった人間、そして君のようにこの研究所に相応しくないもの。」
「そんで俺はこいつらに眠らされてしまった。ってことかよ。」
「まあ死ななかっただけマシと思ってくれたまえ。」
多分この言葉は何人も犠牲になってきた。って事だと思う。
「大人しくしときますよ。命をお助け頂き、どうもありがとうございます。」
皮肉めいたこの言葉使いは隆自身納得が行ってない。という証明だった。
「そんな君に1つ質問に答えてあげよう。」
質問する内容なんか最初から決まっていた。
「何故淳はあんなことになっている?よほどの理由、いやあっても無くても・・・・」
隆は言葉を続けようとしたが、 拓也はみなまで言うな。と言って、
「君は何故アイツが巨人に変身できると思う?」
隆は質問をしているのは俺だ!と言い返したが
「すまんな、私もそれはわからんのだ。」
は?隆は意味が分からなかった。
「からかっているわけではない。本当に巨人とはなんなのか。」
「ちょっと待ってくれよ!ならなんで淳は巨人に変身できる?あいつがそういう能力を最初から持っていた。ってことだろ?」
隆は興奮気味に言ってしまった。
「いや、違うのだ。彼がこの能力を手に入れたのは2年前。ある日突然彼は巨人に変身するだけの石を手に入れたのだ。」
2年前?
「俺は5年前にあの巨人を見ているんだ!2年前なんてそんな・・・・。」
隆の頭はキャパオーバーしようとしていた。
「少し落ち着いてくれたまえ。私とて全て知っているわけではない。そして我々は巨人を知るためにすまないが彼を・・・・淳君を研究材料として・・・・」
「それとこれとは話は別だろ!すり替えるんじゃねえ!」
ドン!と近くの机を叩いてしまっていた。
「なら君はこの先あの怪獣ども、我々はunknown beast(アンノウンビースト)と呼んでいる奴らはこれからも彼一人で全て倒すのか?もしや君はunknown beastはこの付近しか現れない。とでも思っているのかね?」
「どういうことだ?」
隆は興奮気味だった。
「言葉の通りさ。このままあの怪物共はこの地球を潰す気だろう。」
目的は?なんでこの世界を?
隆のこの質問は宙に浮いたものになる。
「そんなもの知ってたら私達は早急に対処するさ。だが何もわからないか今、人体実験という曲がったやり方でも情報を入手しようとしているのだ。あわよくば人類全員がこの巨人の力を使えるようにと・・・・。」
は?最後のほうの言葉の意味がよくわからなかった。巨人の力?
「敵はunknown beastを繰り出してくるペースを確実に多くしている。例えそれが悪意がなくとも人類にとっては脅威になる。犠牲者を出さぬ為にも人類全体が自衛力を手に入れ、己の力を見極めねばならない。」
ちょ、ちょっと待ってくれよ!
「君が意味が分からなくなるのも仕方ない。だがこれが最善の道だ。少なくとも今のこの国の力ではunknown beastは一体も倒せやしないだろう。」
「だからって!それが人を傷つけてでも実験をしていい理由にはならない!」
隆の反論は道徳的には正しいものではあった。が、
「だが淳はそれを半分了承している。」
は?隆は耳を疑った。
「彼は我々とこの実験をすることでこの場所での衣食住をすることを許可されている。彼が生きるためには仕方が無いのだ。」
ここまで聞いて、と拓也は話を変えた。
「まだ仲間にならないかね?」
隆は何かに締め付けられた気分にもなった。
ならないなら、と拓也は話を続ける。
「君を今ここで殺すことになる。」
後ろに人殺しをよしとする奴がいたことを思い出す。
「卑怯だなぁ・・・・。」
隆ははぁ、とため息を吐いてしまう。死にたくないし、仕方はあるまい。
「なります。俺が入れば文句ないんでしょ?」
「そして報道しよう。なんて真似はやめたまえ。誰も信用しはせんさ。」
それは拓也が独りごちたようにも思えた。
「真実をやろうものなら一番傷つくのは淳君だろうからな。」
この最後の言葉の意味は多分真実が伝わると淳が人としてではなく巨人となる怪物として扱われてしまうということだろう。そしてそれは拓也なりのフォローでもあったのだろうか。