「巨人・・・!」
だが、隆はこの瞬間を待っていたのかもしれない。
が、巨人は大きくは無かった。目の前にいる怪物と同じ位の身長であった。
「というかあの少年が巨人だったのか・・・?」
(早くここから逃げて!)
隆の脳内にそんな声が聞こえた。どこから発した声かは分からなかったが脳内にそれが響きわたった。
言われるがまま隆はそこから逃げた。
少し離れた所からそれを見ていた。
巨人は隆が離れた事を確認したら早速怪物に殴りかかっていった。
怪物は触手を地中から発生させ、巨人の両腕に絡ませた。
巨人はもがきながら抵抗していた。
怪物はそれを確認し、4つに別れた口を大きく開き、捕食するようにゆっくり近づいていった。
「まずい!そこから逃げるんだ!」
隆も叫んでいた。
が、巨人の両腕が炎のようなものに包まれた。
瞬間、怪物の触手を溶かしていった。
ギィィィィィ!!と怪物も想像を絶するような声を出した。
「今だ!」
隆は巨人に叫んだ。
巨人は隆に頷き、右腕を大空にかざした。
右腕から電子で形成された剣が腕の模様から伸びていった。
その剣は周りの雑木林の長さを優に超えていき、大空にそびえ立つ1本の大きな剣になった。
「なんなんだ、これは?」
隆は驚愕していた。
フンッ!巨人はそれを怪物に振り落とした。
振り落とされた剣は怪物の脳天を直撃し、瞬時に怪物を真っ二つにした。
断末魔だけが辺りに響いた。
巨人は倒した直後に膝をつき、また光に包まれた。
するとすぐにあの少年の姿に戻った。
「大丈夫ですか?」
少年はフラフラになりながらも隆に近寄ってきた。
「俺はいい。そんなことより君は大丈夫なのか?」
「そんなことより早くここから去ってください!」
は?隆は分からなかった。
「その必要はない。」
後ろから聞こえた。男の声だった。
その瞬間、隆は重く鈍い感覚だけを感じ、何も感じなくなった。
隆は目を覚ました。
寝ていた。という感覚は無い。
体を動かすと全身に鈍い痛みが走った。
辺りを見渡すと真っ暗な部屋に目の前にある鉄格子。まるで牢屋であった。
「目が覚めたかね?」
どこからか音声が聞こえた。
「誰なんだ、あんた、一体・・・」
隆は考えている暇が無かった。
「ここから出せ!」
鉄格子にしがみつき、それを揺らした。
「まぁ待ちたまえ。そんなに焦らないでくれたまえ。」
「ふざけるな!あんたらは何を考えている!俺を閉じ込めてどうする気だよ!」
鉄格子は大きく揺れ、大きく軽い音が聞こえるだけだった。
そして1分もしないうちに黒い服に身を包んだ男が3人ほどやってきた。
「大久保隆だな!」
男の口調は偉そうにしていた。そして持っていたキーが開けられ、扉が開いた。
「早くこちらに来い!」
黒い服の男は偉そうな態度であった。
隆も逆らうような事はせず、大人しくついていくことにした。
隆は会議室みたいなところに連れていかれた。
扉が開き、黒い服の男に連れられ、中に入った。
中を進んでいくとまた男の姿があった。
「ようこそ!といいたいが、私は生憎だが君を歓迎出来る訳では無いんでね。」
金髪で長髪の男は愉快な口調であった。付けている仮面からはミステリアスな雰囲気を醸し出していた。
「あんた誰なんだ。一体。」
隆は当然の質問をした。
「詳しくは語れない。君は我々の秘密を知ってしまってるんだからね。」
「秘密だと?」
聞き返したが隆は多分この時には分かっていた。
「我々の被検体の秘密に触れたではないか。」
「あのガキンチョの姿が変わることか?」
なんであんなことができる?お前らは何を知っている?
隆は質問を続けていった。が、相手から返事が返って来ることは無かった。
「君は少しうるさいな。私が拘束されている身なのだ。弁えたまえ。今から君を不慮の事故にみせ
るなり、謎の自殺として君を処理する事もできるんだぞ?」
男の目は本気だった。
隆は何も言い返しはし無かった。
「そしてここで私からの提案だ。」
隆は耳を疑った。
「提案だ?」
「そうだとも。君は彼の秘密を知ってしまった、ある種救済の手を差し伸べているつもりだがね。」
「要約すると我々の考えに背くようならここで抹殺して裏山に捨てるって事だろ?」
「君にはそう聞こえたかね?」
男は笑った。
「救済の手を差し延べるなんてよくもまぁ抜け抜けと言えたもんだな!」
「で、君はどうするんだい?」
「少しだけ時間が欲しい」
何とかその場をくぐり抜け、家路に辿る途中だった。
目の前にあの巨人に変身した少年がいた。
「君のせいで俺はこんな事になったって八つ当たりしたくなるね。」
命の恩人になるであろう人間に言う言葉ではない事は隆にも百も承知だった。
「すいません、こんな荒っぽい事になってしまうなんて・・・。僕自身こんな事になるなんて思ってもみなくて・・・。」
少年は申し訳なさそうに言った。
「いやまぁ、命を助けてくれたんだ。ありがとよ。」
「まぁ僕もあの生物を殺すのが仕事みたいなものですから・・・。」
少年は照れて言った。このことで礼を言われるのが初めてなのだろうか?
「俺は大久保隆。君は?」
「僕は結城淳と言います。」
少年は手を差し出した。
「これからもよろしくな、淳君。」
差し出した手を掴み、握手をした。