「おい!英司!ぼさっとするんじゃないよ!」
「あ、悪い、悪い。」
友人に急かされるが如く、英司は持っていた脚立を安定させた。
「そんなに焦らせないでよ!」
英司の友人、初春はそんなことにはお構い無しだった。
「早くしないと女子水泳部の水着姿が見えないだろ!」
こんなことに自分は協力してるとなると英司自身ちょっと残念な気分にもなった。
「二人とも~!ジュース買ってきたぜ~!」
横から走ってきたとはもう一人よく遊ぶ友人、恭介だった。
「バカ!大きい声を出すな!」
そう叱りつけるように言うのは初春だった。
「もう少しで見えるぞ~!」
初春のテンションは異常なほどだった。
「おい、バレたらタダじゃすまないんだぜ?」
英司が反論して言うも、
「バカ野郎!そういう背徳感的なものがたまらないんだろうが!」
多分この言葉に賛同する人間はまぁいないだろう。そう思いながらも英司はそれに対して少し納得出来たような気もしていた。
「おう!」
初春の方に動きがあったようだ。
「み・・・見えた・・・!」
その時の初春の顔は世界で一番幸せそうな顔をしていた。
「最高だよぉ!」
「ばか!俺にも見せろ!」
「僕にだって見せろよ!ずるいぞ!」
英司と恭介も食いついていた。
「ちょ!お前ら、変に押すんじゃない!」
慌てる初春をそこのけとやるが如く、英司と恭介がせがんだ。
「ちょっと待て!」
初春は言った時には遅く、英司がその脚立に登っていた。
「こんなもんかな?」
脚立から見えたのは女の園だった。
「おい!早く代われよ!」
恭介が下からうるさかったが、英司は気にしなかった。
ん?英司の目に止まった女の子がいた。
ロングヘアーを隠すように水泳帽を被った女の子。身長は自分とそう変わらないと思われる、それでいて品を感じさせる、そんな女の子だった。
「キレイだなぁ」
英司はガラにもなく、そんなことを不意に言っていた。
早く代われよ!と言われ、その後急かすようにすぐ恭介に代わったが、顔は覚えたつもりだった。
「覗き」に近いそれも終わったその日、自分の部屋に戻った。
自分の目の前にふいに映ったあの女子が浮かんでいた。
「誰だったんだろうか・・・?」
そうは思っても行動をする気は無かった。そんなことより今はダイキというあの凶暴な男をどうするかということの方が大事だった。
「奴はなんとかして倒さなきゃな・・・」
とか思っていたが、あの時見た女の子の影がまたよぎった。
「あれ・・・?なんで・・・?」
考えれば考えるほどドツボにはまってくような気がした。
「もう寝よう・・・」
顔が真っ赤になっていた。