「人類はいつだって自分がやって来た事を後悔していく。でもそれは自分が生き抜くためだったんだ、そのおかげで人類は発展したんだ!俺は間違ってない!そう言って整合性、もとい、自分は間違ってない!という思考ばっかだ。人間ってのはどこまでいっても未完成な生物の一角を担い続けるんだろうね?そうは思わないかい?」
男は深いソファに座りながら目の前にいた、女に声をかける。
「でもそれを生み出したのはアナタでしょう?」
女は不敵な笑いをしながら長い髪を巻き上げる。
「ふふふ・・・・それは、少し違うよ。これは進化の1つで僕が考えてたものじゃないね。僕はもっと賢く育つもんだと思ってたよ。31回目にもなるとこの世界はもっと変わるもんだと思ってたよ。」
「そりゃ私たちはそれまでの記憶がありますけど、人間はありませんのよ?」
「まあそれもそうだね。でももっと変わって欲しいよ。こんな死ぬ人間以外何も変わらない世界なんか何回も見てるとこっちがしんどくなってくる」
「あなたがそう望んだのに?」
男は立ち上がった。
「少しは期待はしていたさ。ただただ退屈が嫌いなだけでね」
女は大きく声を上げ、また笑った。
「あなた!もう最高!人間だったら世界一のコメディアンになれたのに!実にもったいないわ!」
「僕はそんな低俗な事をやってみせる気はないよ」
「高貴だからね?って続けるのでしょう?」
女の言葉に的を当てられたのか、男は、
「鋭いね。1本取られたよ」
「まぁ、そりゃあ31回もこの集結するまでの世界を見てたらね」
「それよりガウはどうしたんだい?」
男は目をキョロキョロさせる。
「居ないわ。しばらく支配人なんだからって理由で下にいることも多いわ。全ては円滑なこの世界のタメにってね」
女は肘をつきながら答える。
「ガウは真面目だね」
ソファに座りながら男は言う。
「アナタと違って」
女が付け加える。
「アイム、僕は神なんだ。こんな人間のくだらない事に真面目に力を使いたくないのさ。美味しいとこで僕はいいよ」
アイムと呼ばれた女は少し、男の顔に恐怖を思いださせた。
「愛理さん!愛理さーん!」
英司が呼ぶもサッパリ返事は無い。もう30分近く探している。
自分がさっきまで戦っていた地域からかなり遠く離れている気もしている。
「見つからないな・・・」
隣にいた誠二から少し疲労の顔が見えた。
「もう少し粘って探そう。見つかりそうでもあるよ。多分。」
誠二はそれに乗っかるつもりは無かったが、
「お前はここをまっすぐ行ってくれ。僕はもう少しここいらを探すよ。」
分かった。それだけ言い返し、英司はまっすぐに走っていった。
「この女!いい加減しつこい!」
男は叫ぶ。
「ここまで来て諦めきれるワケ無いわ!絶対に!」
愛理は叫ぶ。
しばらくの間、走っていた体はもうそろそろ限界に近いものがあった。
「クソッ!」
男は吐き捨て、不意に道を曲がった。
「待ちなさい!」
愛理も負けじと追いかける。が、その時点でこのおいかけっこに近いものは決着はついていた。
愛理が男が曲がった場所にたどり着いた頃には男の姿は無かった。
「嘘でしょ・・・?そんなに距離も空いてないハズなのに・・・」
愛理は不思議にしか思えなかった。
そこには愛理しかいない空間にしか思えなかった。
だが、愛理は諦めるつもりはサラサラ無かった。
「まだ近くにいるハズ・・・いるハズよ!」
だが、四方に人の気配を感じない。
ブルルッ!ポケットから携帯のマナーモード特有の振動がした。
「はい。もしもし。」
「愛理さん!」
英司の声だった。
「一体どうしたの?相手は蹴散らしたんでしょ?」
「とりあえず合流しましょう。話はそれからにして・・・」
「でも私の近くに犯人はいるハズな・・・」
言いかけたその瞬間だった。
首が布か何かに絡まれた。
「!!」
コホッと咳き込み、後ろを見た。
男がいた。男は狂気的な笑顔をしていた。手に持っていた自分を絡めている布は力強く握られていた。
「あなたは一体・・・」
そこで意識は途切れた。
落とした携帯からは英司の声が聞こえるだけだった。