ただの甘ちゃんだったか・・・。誠二は失望した。
あれだけの事がやって見せたのだからそういう人物は至って世間からは「ゴミ野郎」という烙印を押され、なってはいけませんよ。
という世間からそれより下の世代に教育が行き渡る、そういうものだった。
これまでもそうだった。
自分だけのハーレムを作りたい。
自分を認める世界。
自分が1番の世界。
全て、1番いいのはその自分自身だった。そしてそれを殺してきた。
だが、誠二は違った。
彼は自分の持つ、この力、英司という少年が言ってたように言うならクロノス。
元の意味はギリシャ神話で時間の神だったか?それを使って世界を作りたかった。もう一度自分が、家族が囲める家庭を。
「時間の神の力か・・・。1種人間の時間を操ってみせているという点では大いに正解かもな。皮肉過ぎるね。」
勝手な解釈だが、納得はできた。イヤ、そんなことはどうでもいい。今取り組むべきは霧島英司。能力者であるなら彼の欲望は最後の1人になって、叶えられるものだった。
「俺がこのくだらない戦争を止めてみせる!」
まるでどこかの主人公みたいなセリフだった。
そんなものを遠い昔に聞いた気がする。だが、彼は敵なのだから、殺す対象にしかなかった。青臭い理想論が成立している社会ならもうとっくの昔に人間は争いを止めてるさ・・・・。
そして甘えをもった人間が1番先に死んでいく・・・。それがこの世界の掟、常識であった。逆にそれで生き残った人間を知らない。
「僕が君の夢を終わらせてあげよう・・・・」
手に持っていたショットガンのようなカードが手の上で遊ばれていた。
「ここは宏太の心情を察してからに・・・」
先生の授業なんぞ今の英司には届かなかった。
「どうやって戦いを止めるか・・・」
確かに自分は甘い。ガキンチョと言ってる事は同じだ。短冊に「世界平和」なんて書いて満足して天の神様にお願いしているようなもんだ。
まあ・・・その神様ってのもろくでもないやつではあったがね・・・。
人間どうしてないものをそう願っていくのか英司にはわからない話であった。
「英司~!ここ答えてみろ!」
先生から当てられた。
「え~っと・・・ここは宏太の心情を汲み取って・・・」
もちろん、怒られた。だって聞いてないんだもの。
形だけだった。
家に着くと何も無かった。1人暮らしでは無いが、1人だった。1年前は3人だったが。今はもういないのだ。誠二の家はそうだった。
「ただいま。」
家族なんてもの無かった。誠二が殺したのだから。
「ただいま。母さん。今日学校で配られたプリント。特に大した事は書いてないけど僕の書いた感想文が掲載されてるんだよ。」
と母さんであったものであったそれが写っている写真立てに喋った。
誠二は満足していた。その生活に。家に帰れば誰かが居て、ご飯を囲んでいた。別に何が楽しいとかそういうのでは無かったが、ただただ一般が染みていたのだ。
が、世界は彼を一変させた。ちょっとしたことで彼の家庭は崩れた。
そして人は変わった。入ったヒビは直ることなく、壊れていく。
冷めた空間には何も形成されることなく、淡々と1日を終わっていった。
そして全てが変わった。彼の両親は怪物になった。文字通りの意味だった。自分の両親は1つ目の何かに変わっていた。
「母さん・・・父さん・・・一体どうしたんだよ・・・!」
1つ目のそれは誠二に向かってくる。
アアアア!!奇声を発した怪物は誠二を取って食うかの如く、迫る。
「僕が・・・・僕はぁ・・・・!!」
それでなにかがシャットアウトされた。真っ暗な世界。そこに1人の青年がいた。
「やあ。君が誠二君か。君は素晴らしい才能の持ち主だ。それでいて君は選ばれた。僕に。これは君の人生において最高に誇っていい。」
青年は語る。
「あんたは一体何物だ・・・」
誠二は疑問を投げかける。そして答える。
「僕は君たち全員が知ってるモノさ。知らない人物を見たことがないね。」
まあ見れないこともないか?と青年は付け加えた。
「ところでここはどこだ!僕は・・・」
誠二が言うより早く青年は答える。
「人間の悪いところだよ。すぐに見つけ出したがる。それでいてすぐに見切りをつける。僕を見習いたまえ。」
「あんたは一体・・・・」
誠二の瞳孔は開きっぱなしだった。恐怖とどこか知っていそうな安らぎが彼の感情に居座っていた。
「僕は人間が言うには神様という存在だよ。」
「神様・・・・?」
誠二の脳の処理許容範囲を超えていた。
「そして神は君に力を与えよう。人間が生み出したものに苦しむ君に。引き金は君が引くのさ。いつの時代も。世界は自分で帰るという横暴さも必要だ。だから僕は君にチャンスを与えよう。僕が与える力は君以外にも多くの人間が所持している。その力を持つものを君1人になるまで戦い続ける。もし、君が成功した暁には僕が君が持つ3つの願いを叶えてみせるよ。約束しよう。」
そう言い、手にあったのはショットガンが描かれたトランプ大のカード。
「俺は最後の1人になるまで戦うさ・・・。どんな犠牲も払おうと・・・・!!」
気づけば自分の家であった。両親であった怪物2匹はこちらに押し寄せる。
持っていたカードはショットガンに変わった。照準を1匹の怪物に向ける。
「うう・・・・!!撃ちたくないんだァ!!」
銃声が鳴り響いた。
1匹の怪物が苦しみの奇声を発しながら倒れる。
もう1匹も迫ってくるがためらいは無かった。いや、嘘である。あったが少なからずとも覚悟の少しはできていた。
「僕が撃たなきゃ・・・・僕が死ぬんだ・・・!こいつらは怪物で人間じゃないんだ・・・・!」
分かっているさ!
「あああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
トリガーを引いた。
貫通した弾丸は怪物に風穴を開けた。
1匹目と同じく奇声わ発し倒れる。
そして怪物の形は変わる。
「父さん・・・・!!母さん・・・・!!」
それは彼の両親の姿だった。血が出ており、床が鮮血に染まる。赤々としたそれは誠二の衣服を汚していく。
「う・・・あああ・・・・!!!」
そして両親の体は粉になって消えた。何も無かったかのように。
その後わかった事がある。
両親はわからない錠剤を口に入れていたことだ。それが原因なんだろう・・・。
テーブルの上に置いてあった薬は開けた箱しか無く、本体は無かった。
その後、誠二は叔母と学校から資金面で支援を受けていた。もちろん彼もバイトをしつつだ。
そちらのほうが自分が持ったカードを持った人間を探し易いというメリットもあった。
「僕はもう1度全てをやり直す・・・・。そうしなきゃ何も報われない・・・・そして薬を作った人間を殺す・・・。僕はもう1度・・・・!」
彼の願いは自らの再生であった。