言うならばそれはもう一つの「目」だった。遠くコンビナートを見つめる「目」。吸い込まれそうな青い「目」をした少年はコンビナートより少し離れた自然公園から終わった後のそれを見つめていた。カメラやマイクを持つ報道陣がコンビナートを囲むように場の今を映していた。その場にあったであろう死体はもう撤去でもしたのか、そこは汚いとは言えなかった。
「派手だねぇ・・・。」
青い「目」をした少年は呟く。
「僕らってもうちょい地味だと思ってたけどここまでしちゃってもいいならいいよね~。」
少年はハハッ!と笑った。
「確か・・・。隣のクラスだっけな?」
僕の生きる道の礎となって貰おうか。
そうまたつぶやき後ろを振り向いた。男が二人、少年を見ていた。敵意だった。
「僕の時間を奪うだけの罪は償って貰おうか?」
そう言うと少年はポケットから一枚のカードを取り出した。小さな銃口が2つある銃が書いている一つのカード・・・。
もちろん、命でね。そうセリフをつけ加えると迷いは無かった。
その後、英司の病室には多くの友人が訪れてきた。ここにいる理由も多くいたが、焦っていた。と答えれば笑いに変わっていった為、ごまかしてはいたのだろう。
そして時計が2時を指す頃、1人の客人が訪ねてきた。
「愛理さん・・・。」
愛理だった。手に紙袋を携えていた。
「調子はどうかしら?」
「どうも。死にたくは無いですよ。いつもの通りに。」
「どうやらいつもみたいに憎まれ口を叩く余裕はある位回復したのね。」
すいません。と英司が謝ると、愛理は手元のテーブルに紙袋を置いた。
「じゃ、元気があるうちにさっさと用を済ますわよ?」
愛理は紙袋からホッチキスで止めている資料を取り出し、英司に渡した。
「これは?」
渡された資料。エグムと書かれたものであった。
「エグム・・・。能力者を使って世界の転覆させようなんて考えてる馬鹿げたテロ組織よ。」
英司がページを捲るより早く、説明が始まった。
「エグムは能力者を派遣して傭兵のような活動もしてるなんて言われてるわ。」
英司は一つ質問を挟んだ。
「何故…世界を転覆させたいのにどっかの片棒を担ぐんですか?一気にやっちまえば早い話じゃ無いですか」
「分からないの。目的が。何か世界に自分の力を示したいとか意味は持ってはいるでしょうね。」
「それで今回のコンビナートの事件もコイツ等が・・・!」
「ええ。そう考えるのが妥当ね。」
「許せるか!人が死んでいい理由があるか!さっさと奴らを潰しましょう!でないと!」
英司の言葉を愛理が割った。
「そうはしたいけど何も出来ないのよ。」
は?と英司はなった。
「分からないのよ。奴らの1%も。立つ鳥跡を濁さずって奴ね。奴らは何も残さない。テロ活動も破壊するものを破壊したらさっさと帰る。」
「そんな・・・。」
「それにエグムはこれまでのテロ組織を統合しつつあるとの噂もあるわ。」
それは一種の空想上の話では無いか?とも思った。人の思想は違うし、そのテロ行為にも全く違う意味が込められているからだ。
「その為のアナタの力。クロノスの力。クロノスにはそれだけの人の欲を集める力があるのよ。怖い話ね。」
「実際に戦争にも利用されてるって事かよ…」
英司は考えただけでゾッとした。
「ま、今分かってるのはそれまでね。起きた事は戻らないの。これから起きないようにしなきゃ死んだ人間は報われないわ。」
英司は口を噤む他無かったが、少し間をあけ英司は口を開いた。
「そういえばコンビナートの時に起こったんですが・・・」
愛理はえっ?と意表を突かれたように反応した。
いきなり相手の背後に回ってたんです。それで僕自身助かったんですが、なんかこう・・・しこりがあるというか・・・」
こほん!と愛理は咳きたてた。
「それは・・・。確か・・・、名称はアサルトだったかしら?」
ちょっとお茶を濁すようにも聞こえた。
「アサルト・・・?」
「よくいえば必殺技みたいなものかしら?」
愛理の発言に少しわかったようでいて、わからないといったもどかしさが今の英司にあった。
「その必殺技ってのが僕の場合は瞬間移動ってものなんですね?」
「正しくはそのカード次第って事かしら?さっきも言ったけど私たちも困ってるの。わからないのよ」
英司自身、愛理に頼り無さを感じたが、口にしなかった。こればっかりは仕方ないのだから。
「神様も盛り上がりが欲しいのではないの?そういう意味では神って信仰するって意味にも繋がってくるし、今を生きる人間の欲を都合良く、うまく刺激してるのよ。それを戦争のはけ口にしたり、自分の視野を広げたり、縮めたり・・・。まあ大半は縮めて、他人と潰し合うわね。」
「そんなにちっぽけって思いたく無いですよ。」
「人間が互いの人間の全てを理解するなんてことは人間は自分の思考を全て超越した新たな人類になってるわよ。その時にはね?」
「それって誰かの言葉ですか?」
「いえ。私の言葉よ。こういう警察なんて仕事してたらそうもなるわ。人間不信に近い何かにね」
「俺は限界なんて設定したくありませんよ。」
愛理はすっと英司を見た。
「それが若さなのかもね。」
何かをずっと諭したそれは今の英司には肯定は出来なかった。
「何かにすがらないと人間なんてやってけませんよ。それが本当の神でも何でも。俺は信仰してるその全てまでも否定したくない。だからこんな事、殺し合うなんて間違いだと思ってやってるんです!みんなそうですよ!」
この言葉も神が作り出したステージの上で踊ってるものにはこの感情は同じステージに立ってるものですら理解は出来ないだろう。
人はの野心は何かを超えた1種の奇跡に似たそれ、思想、つまりは現社会における、イデオロギーを形成しているのでもあったが、若さはそれを否定し、可能性を代わりに肯定し、
逆に経験を積めば、若さを信じた可能性を否定する。積み上げた本が天井につくように。根拠に全てを置くように。
病室にいる2人は多分それであった。だが、それはどちらかが違うのでは無く、考えの相違なのである。
世界は流転していく。彼自身、彼女自身、間違いをわかってるという意味では同じであった。