雄也についてこいと言われ、付いた場所は「がいどう」と呼ばれる集落だった。
「ここは一体?」
明人は当然の質問を雄也に求めた。
「ここはがいどう。選ばれなかった人間が集まる勝ち組の社会から見れば「イラナイ」とされる集落。この時代の日本はまた「貴族」や「平民」といった位が暗黙のルールが制定されてるのさ。これによって「選ばれた」奴らにも差別ができてきたのさ・・・」
ペッとタンを吐き捨て、雄也が言った。
「これも俺の責任か・・・。」
この歳で事後処理という言葉が適任するとは彼自身思っていなかった。
「ここはその「選ばれた」人間が落ちないように精進させるため、見せしめにするための・・・」
「それ以上は止めてくださいませんか?ここにも誇りある生命が燃やしてるんですよ?合っていてもね?」
「すまない。言葉を選び間違うとこだったよ。」
明人のこれ以上の言葉は確かにこの場では命取りだった。それを雛が止めてくれたのだ。
「んで、雄也よ。俺に会わせたいという人物はどこだよ?」
「黙っていろ。」
ちょっとした質問のつもりだったが雄也はそれどころでは無かったようだ。
「おい。そこのアンタ。「大久保司」がどこにいるか知っているか?」
雄也は目の前にいたみすぼらしいじいさんに声をかける。
「知らないなぁ~。えへっ・・・えへへへっへ・・・」
そのおじさんは不気味な笑みを浮かべながら雄也に背を向け、ここから遠ざかろうとする。だが雄也はそれを逃すつもりは無かった。
「おっさん。もう一度問う。「大久保司」を知らないか?」
「知っててもだれがお前に・・・ヒイ!」
おっさんがもう一度雄也に向いた瞬間、雄也は銃口をおっさんに向けていた。
「最後のチャンスだ。知らないか?この距離で外すほど僕は下手じゃないんだが?」
「わかった!わかった!話すから、その物騒な物をしまってくれ!」
おっさんが慌てふためき対応する。
「待てよ雄也!いくらなんでもやりすぎだ!」
明人が必死に雄也を止める。それを払いのけ、おっさんに指示する。
「ダメだ。先にそこまで案内しろ。僕は今気が立ってる。」
「こっちだ。」
おっさんに言われるがまま3人はついていく。
「雛さん。僕が今から行くところはどんな人物がいるんだい?」
「官僚の信頼していなかったあなたは総理大臣就任後すぐに新しい新人さんを1人使い、秘書にしたんですよ。確かあなたの時代にも内閣作る時は議員からだけではなく、適当な農民や政治家や政府に全く関係のない一般人を雇ってもOKって法があるんでしたっけ?」
「ああ。まあな。だがそんなことしてる総理大臣なんかいないぞ?やってもすぐに国民の支持を失い、即解散総選挙だぜ?」
「あなたの時代の常識ならそうでしょうね。」
雛の物言いに明人はむっとした。
「まあ、そのしたことない奴の1人目があなたなんですよ。」
ニコッと雛がいい、明人はポカンとなる。
「そうなのか・・・。俺は政治家になったら尖ったことしてんだなぁ~。」
と、いうより明人は自分がなぜ政治家になったのかという疑問が1番知りたい事であった。
「人間どこで何で転ぶかわかりませんよ?」
心を読まれた?と明人はびっくりしたが当の雛はふふ~んと鼻歌を奏でていた。
「着いたぞ。司様、あなた様に会いたいと言う小僧お連れしました。中に入れてもよろしいでしょうか?」
道案内をしてくれたおっさんが指示する。言葉遣いに細心の注意が払われていた。
「構わないよ。中に入れてやってくれ。」
ハ!っとおっさんは言い、扉を開く。3人は恐る恐る入っていく。
「やあ。くるのは分かっていたが少し遅くなかったかい?」
「ふん!あっちの世界には色々鬱陶しい出来事が多々あったんだ。それ位わかれ!」
雄也と司と呼ばれる男が意味深な会話をする。
「久しぶりですね。首相。」
司は丁寧にも明人にお辞儀をした。
「俺はこの世界じゃ、首相じゃありません。やめてくださいよ・・・。」
「あ・・・。まあそうでしたね。今のあなたはまだ私の従弟という事なんですねぇ」
従弟・・・?
「もしかして司って・・・」
「そうだ。こいつの元の名は古谷司。お前の正真正銘の従弟さ。」
明人が戸惑っている間に雄也が冷静に答えた。
確かに言われてみればちょっと間抜けそうな顔は似ているように見えたが・・・
「老けたなぁ~。」
「とりあえずさっさと話を進めるぞ。明人の弱点を教えろ。僕が奴を止める。」
その話を聞いた瞬間、司は笑った。
「さすが君だ。昔から僕が見込んだだけあるよ。」
「いいから教えろ。」
こっちは時間がないんだ。と付け足し、司はは説明を始める。
「う~ん言うなら、あの人は誰も信じてないんだ。だから自分の側近にはアメを与えている。それが今の現状の日本を作った1つかな?」
「それだけわかれば十分だ。明日には国会に仕掛ける。僕らがこの国をもとの形に戻す。」
「その為の俺だろ?」
雄也の発言に明人が合わせた。