さて、怒涛のお楽しみ週末の2日目は「であい寄席」である。
前日の帰路、電車の人身事故で散々な目にあって疲れていたので車で会場へ向かった。カーナビに従い芝のインターで降り、五反田駅方向ではなく一の橋方向から向かったがカーナビに表記されてる場所に本立寺さんが無い!少し迷ってやっと見つかった。朝二度寝してしまい焦ったが、なんとか間に合った。
お若いので進化も早い。しっかり声も出ていてつまづきも少なく無くなっている。いい噺家になっていただきたい。
一席目は鳳笑さんで「まんじゅう怖い」だ。このお方、一門のお約束でしょうかマクラをたっぷり演る。今回もつい数ヶ月前に起こった新幹線でガソリンを被った男の事件の直後に新幹線のホームで自分が危ない男と思われて職質されたハナシを入れてくる。これには面白かった。噺に入ると少しつまずいた所はあったが楽しかった。こういうシンプルな噺こそ難しいんだと思う。いわば楷書できっちり字を書くのに似ている。
続いては貞鏡さんの講談で「奉行と検校」だ。御家人の根岸肥前守が奉行に、目の見えない百姓の倅の塙保己一が総検校へと出世する、いわば出世比べの噺だ。女流の方は発声などでタイヘンだと思うが、貞鏡さんは努力と工夫でここまでになった。凄いと思う。なかなかにいい噺であった。廊下で二言三言お話をさせていただいたが、立派になられた。
続いては志ん八さんで、新作落語で演題は存じ上げ無いが「煙草の噺」と「釣道楽の噺」短い噺二作である。志ん八さんは古典のみならず、新作も積極的に演る噺家さんだ。そして面白い。昨今では愛煙家は肩身が狭くなっており、同じく釣道楽の旦那なんかも家では肩身が狭い。いうなれば肩身の狭い昨今の男達の悲哀を面白くまとめたものだ。お見事!
続いては神楽さんで「芋俵」である。このお方もマクラをたっぷり演る。いつものように「魅惑のワンダーランド✖️✖️寺にようこそ!」で始まり、今回は安保法制のマクラから入っていった。「芋俵」は盗人が与太郎を仲間に入れ引き入れたところから脱線が始まるのだが、なかなか良かった。
さてここでお仲入り。
続いては我等が菊龍師匠で「秋刀魚火事」だ。この季節にはぴったりで、聴いていて長屋18軒全部が七輪を持ち出して、秋刀魚を焼くシーンでは秋刀魚の煙が館内に充満するようだった。また地主の吝い屋の主と番頭のケチっぶりがいい。けど、このあいだの黒門亭で聴いた時よりは秋刀魚の煙に吝い屋の主が驚いて無い気もした。そこらへんはその時々にフォーカスを当てる所を変えているという事だと思う。
お見事でした!もう名人のような出来です。
さて、この日のトリは貞山先生で「長栄と三治」だ。実は貞山先生、腰を酷く痛めて入院されていたという事だ。そういう事もあり高野長英の噺を選んだようだ。芸人たるもの、転んでもタダ起き無い。前回の「上下変人」も良かったが、今回の噺も良かった。医は仁術というのは本当のような気がする。良く言われるように病を治すのは患者さん自身であり、医者はほんの手助けをするだけだと言うが、そのほんの手助けが生死を分ける事もある。色々と考えさせられる話でした。
とても病み上りには見えない立派な話でした。
今回の会場となった「本立寺」さん、立派なお寺さんで、マイクはオーストラリアのRODE社製のコンデンサー マイクで隈無く音を拾っていた。また、トイレもモダンで、近寄ると便座の蓋がイルミネーションとともに開きビックリした。
いや、いい会でした。