警察が来たのは、事故から30分後だった。清花は丹下坂と2人で、パトカーが事故現場に到着するのを待つ時間が、ぼやけた夢のような気がした。清花の車と衝突した丹下坂の車のほうは、かすり傷ですんでいるようだった。
警察が到着した。
「歩道に人がいなかったのと、交差点に他の車がいなかったことは運が良かったです」
中年の警察が、厳しい口調で言った。
「大事故になった恐れもありますよ」
警察の判断で、この事故は丹下坂が7割ということになった。清花の車が優先道路だったからだ。
「では、さようなら」
そう言って、あっけなくタクシーで立ち去ろうとする丹下坂を清花は呼び止めた。「待って!!あなたとお話がしたいの、愛海さん」
清花は丹下坂のことを、愛海と呼んでしまって一瞬ハッとした。
「分かったわ。じゃあ、ここに乗って」清花は丹下坂にそう言われて、彼女と同じタクシーに乗った。
2人は池袋のショットバーで落ち合った。「わたしの車の、車両ナンバーはね、尊敬していたF1レーサーが事故で亡くなった日付なの」
丹下坂は先ほどの事故で低姿勢に出るどころか、清花との運命共同体の仲を深めたような様子だった。
「それがきっかけで、聡思さんはサーキットをやめて設計の道に進むことにしたのね。聡思さんは、そんなことは言ってなかったわ。でも、それが原因だって、わたしには分かるの」
清花は、ショットバーで丹下坂と聡思の、昔話を聞きたいわけではなかった。彼女が清花の会社に入社してきたのは偶然なのか知りたかったのだ。丹下坂が入社して以来、ずっと彼女からストーカーされているような奇妙な感覚を抱いていたのだ。その証拠はない。だから丹下坂を問い詰めることも出来ないが、そんな気配を感じていたのだ。
しかし、何も聞き出せないままだった。
「車のこと悪かったわ」
帰り際に丹下坂は初めて、清花にあやまった。
清花は事故の原因になった運転中の眩暈が病気なのかどうか、病院で調べてもらうことにした。清花が家に帰ると、シアトルの聡思からパソコンにメールがきていた。「清花、会社のクリスマス休暇で帰ることになったよ!年末年始は日本にいることになった。会社の忘年会は、箱根にあるHONDA社員の保養所で行うことになった。清花と会えるのが嬉しいよ!!クリスマスには帰れるからね」
続く☆
警察が到着した。
「歩道に人がいなかったのと、交差点に他の車がいなかったことは運が良かったです」
中年の警察が、厳しい口調で言った。
「大事故になった恐れもありますよ」
警察の判断で、この事故は丹下坂が7割ということになった。清花の車が優先道路だったからだ。
「では、さようなら」
そう言って、あっけなくタクシーで立ち去ろうとする丹下坂を清花は呼び止めた。「待って!!あなたとお話がしたいの、愛海さん」
清花は丹下坂のことを、愛海と呼んでしまって一瞬ハッとした。
「分かったわ。じゃあ、ここに乗って」清花は丹下坂にそう言われて、彼女と同じタクシーに乗った。
2人は池袋のショットバーで落ち合った。「わたしの車の、車両ナンバーはね、尊敬していたF1レーサーが事故で亡くなった日付なの」
丹下坂は先ほどの事故で低姿勢に出るどころか、清花との運命共同体の仲を深めたような様子だった。
「それがきっかけで、聡思さんはサーキットをやめて設計の道に進むことにしたのね。聡思さんは、そんなことは言ってなかったわ。でも、それが原因だって、わたしには分かるの」
清花は、ショットバーで丹下坂と聡思の、昔話を聞きたいわけではなかった。彼女が清花の会社に入社してきたのは偶然なのか知りたかったのだ。丹下坂が入社して以来、ずっと彼女からストーカーされているような奇妙な感覚を抱いていたのだ。その証拠はない。だから丹下坂を問い詰めることも出来ないが、そんな気配を感じていたのだ。
しかし、何も聞き出せないままだった。
「車のこと悪かったわ」
帰り際に丹下坂は初めて、清花にあやまった。
清花は事故の原因になった運転中の眩暈が病気なのかどうか、病院で調べてもらうことにした。清花が家に帰ると、シアトルの聡思からパソコンにメールがきていた。「清花、会社のクリスマス休暇で帰ることになったよ!年末年始は日本にいることになった。会社の忘年会は、箱根にあるHONDA社員の保養所で行うことになった。清花と会えるのが嬉しいよ!!クリスマスには帰れるからね」
続く☆