脱線事故報道について、報道時間が減るどころか増えるばかりだ。

様々な調査結果が判明してきたが、ココに来てJR西日本の体質に

ついての批判報道が増えている。

私は以前、約3年間、JRのプロジェクトを支援していたことがある。

その時に感じたことに基き、書ける範囲で今回の事故について考察

をしてみたいと思う。
JRはご存知のように、国鉄が6社に分割民営化された。
JR西日本の特徴は、赤字路線が多く、また京阪神においては、京阪、阪急、近鉄、南海の私鉄との熾烈な争いを強いられ、確固たる収益源が無いことである。
で、社運を賭けた一大プロジェクトである、東海道本線に東西線(片町線)、宝塚線(福知山線)が乗り入れを行った。ベッドタウンからの交通の便の良さや、スピードを売りに私鉄に対抗した。今回の事故は、この売りである「スピード」が仇となった。このあたりは、報道でもあるようにまったくそのとおりだと思う。

何故この事故が起こったか?
JRの体質という観点から書いてみる。
ここからは、私が経験した事から書いてみる。

1つに、縦社会である。
JRは役職によって権限が事細かに決められている。例えば係長にならないと、移動に「のぞみ」を使ってはいけないとか、、、そういうどうでもいい事を規程することによって、係長は代理に歯向かえない、代理は課長に歯向かえない。という事になってしまい、上長が言う事は「絶対」となるわけである。
だから、人命救助をせずに現場から逃走とか、黙祷をささげてから宴会とか言う、おそまつな行動になってしまうのである。

2つに、あからさまな人事制度(昇進系統)が存在する。
毎年数百名の新卒採用を行っているが、いわゆる大卒総合職といわれる社員は全体の2割程度、間接部門への配属される文系出身ともなれば、ほんの数十名、一握りである。
そんな難関をクリアして採用されるのは、有名国公立大学を卒業したエリート社員達である。彼らは入社後、数年で係長クラス、6~8年で代理クラス(副長)10~12年で課長クラス(現場長、箇所長)になる。国鉄採用や高卒採用の人達が、退職までの数十年かかるところを、わずか数年で上り詰める。
こういうあからさまな昇進ルートがある為、入社した時点で、高卒は大卒より下、現業より非現業。警察、自衛隊、官僚なんかと同じだろう。民間企業で、未だにこのようなことが行われてるのはJRくらいだろう。

3つに、マイナス査定主義である。
昇進、昇格、登用には業績よりも、賞罰の罰を重視する。口頭注意何回、厳重注意何回、それ以上の罰を何回ってな具合に、社員の罰歴を重視する。エラくなりたければ、上司に怒られないようにする=絶対服従、となるわけだ。怒られるとわかったらやったことを小さく言う、小学生並の考えに追い込まれる。だから、40Mのオーバーランを8Mと虚偽の申告を行ったりするのだろう。
ちなみに、期末手当(賞与)に対してはプラス査定(業績重視)となっている。

まだまだ、体質について書いていくと、事故の間接的原因につながるであろうことが出てくると思うが、結論を書くと、、、

縦社会については、優秀な大卒社員を増やす事によって、人命より、遅刻しないこと、人命よりボーリング、ゴルフ、宴会、と言う判断をする上長を減らしていくことを考えて欲しい。言葉悪いが、バカな上司を会社が教育したところで改善されるとは思わない。私が付き合っているJRの社員さんたちは、とっても頭が良くて仕事も出来る人たちばかり。彼らが台頭するころには、社風も体質も変わっているだろう、くらいの長い目で見ていくしかない。

昇進系統についても、優秀な社員を採用しエリート教育する為には、今のままが良いのかもしれない。ただ、現場を大事にする上司になって欲しいものだ。踊る大捜査線のムロイさんとアオシマの関係みたいな。。。

マイナス査定は今すぐに止めるべきだ。子供も社員も誉めて育てる方がいいと思う。ダメなときにだけ叱る。上司は叱り方の勉強をすることを勧める。労基法を書き写させたところで、オーバーランや延着等が減るとは思えない。

最後に、根本的な改善を行うなら、次のことを言いたい。
人間を乗せて走っているのだから、輸送業ではなくサービス業と思って欲しい。電車が1分半遅れたからといって、107名もの人が死ぬ事は無いと思う。お客様のニーズの取り違えがこのような惨事につながったとも言えよう。