前世はきっと平安貴族

前世はきっと平安貴族

歴史大好き!とりわけ平安時代をこよなく愛する私です。
こんなに惹かれる理由はきっと前世で生きていたからにちがいない。
源氏物語ネタをメインに、色々思っている事を書いてゆきます。あらすじとか一切書かずに自分の思いだけを強引に綴ってゆきますので悪しからず〜。

なんか物騒なタイトルで申し訳ございません。

 

平安時代、不審な死を遂げた後に

路上で犬に食われ無残な姿となった

女房がいました。

 

この話、ご存じの方もいらっしゃる

とは思いますが、この女房ただの女房

ではありません。

 

何と!花山法皇の皇女だったのです。

 

しかしそんな高貴な身分の女性が

何故一介の女房に?

 

実は彼女、皇女とはいっても

いささか気の毒な存在でした。

 

大河ドラマ「光る君へ」の

花山天皇って憶えてます?

(本郷奏多くんが熱演してくれたっけ)

 

 

そう!ミカドにあるまじき行動が

すこぶる多かった天皇です。

 

コイツときたら、出家して仏弟子と

なったにも関わらず、その漁色家ぶりは

以前よりますます盛んになり

 

おそばに仕えていた女性どころか

その娘まで同時に妊娠させるという

こっ恥ずかしい事も平然と行ってました。

(母娘それぞれに複数の子を産ませたらしい)

 

で、ここで言う「皇女」とは娘から

生まれた方の1人でありました。

 

さすがに世間体が悪いと思ったのか、

花山法皇はこの子を

正式に内親王宣下をする事もなく、

道長の娘・彰子のところに里子として

預ける事に。

 

ひでぇな・・・あせる

 

生まれながらに不幸を背負ったかの

ような彼女の末路は、あまりにも

凄惨なものでした・・・。

 

しかし彰子の御殿といえば宮中の奥。

そんな場所にいたはずの彼女が何故

こんな事になったのか?

 

不思議ですよね?

 

”夜中に路上で殺害された上、

放置された遺体は野良犬に食われた”

 

という記録があったり

 

”宮中に忍び込んだ強盗に衣装を

剥ぎ取られた上、外に置き去りにされ

寒さでによって凍死し、その遺体が

野良犬に食べられた”

 

という記録があったりと、結局

真相は謎のままになっています。

 

とにもかくにも残酷かつ気の毒

としか言いようのない事件でした。

 

 

で、この実在した薄幸の皇女がですね

澤田瞳子氏の『満つる月の如し』

という歴史小説の中では極めて大事な

登場人物のひとりとして描かれて

いるんですよ。

 

 

ひと言でいえばこの小説は

平安時代の有名な仏師・定朝が

宇治平等院の阿弥陀如来坐像を

完成させるまでのお話。

 

なんて言っちゃうとものすごく狭い

世界を舞台にしているようだけど、

どうしてどうしてこの小説には

「え?あの人も?」

と思うような人物まで登場して来ます。

 

ざっと挙げてみただけでも

・太皇太后彰子

・藤原道雅(伊周の息子)

・小式部内侍(和泉式部の娘)

・敦明親王(三条天皇の皇子で元東宮)

 

このあたりの時代が好きな人に

とってはたまらないメンバーね。

 

一介の仏師に過ぎない定朝が

一体どうやったらこの雲の上の

ような人達と繋がるのだろう?と

不思議に思うのだけれども、

作者の澤田瞳子氏は実に上手く接点を

見出して書いています。

 

それがまた資料を非常によく調べて

いるので説得力があるんですよね。

 

例えばこの小説の重要人物の1人に

隆範(りゅうはん)

というお坊さんがいます。

彼の父親は高階成忠。

幼い時に延暦寺に預けられました。

 

そう!つまり彼は、

定子様の母君である高階貴子の

異母弟なのです。

 

という事は、伊周の息子である

道雅は隆範の甥にあたるんですね。

(道雅の方が年上ですが)

 

系図で説明出来なくてすみません

頭の中がこんがらがりますよね?あせる

 

 

私はこの小説を読むまで

隆範の存在を知りませんでした。

 

その隆範と16歳の定朝との出会いが

のちにあの有名な阿弥陀如来坐像の

完成へと導く事になるのです。

 

そして最も重要なのが

例の幸薄い皇女。

 

小説の中では中務(なかつかさ)という

名前で呼ばれています。

 

彼女、血筋の上では

実は敦明親王のいとこでもあるんです。

(父親同士が兄弟なので)

 

敦明親王はかつて次期天皇という

立場にありながら、道長の執拗な

嫌がらせで東宮の座を降りざるを

得なかったという不遇の親王。

 

その恨みつらみでヤケになり、

傍若無人の限りを尽くす親王を

中務は深い慈愛の心で

何とか改心させようと試みるのです。

 

いやほんと、ここに出て来る

敦明親王ってめちゃくちゃクズ!

 

「荒三位」と呼ばれた藤原道雅

なんて全然マトモです。

 

さてさてこれ以上書くとネタバレに

なってしまうのでもう慎みますが、

 

・皇女(中務)は一体どのような

 最期を迎えたのか?

 

この一点だけでもこの小説を読む

価値はあるような気がします。

 

涙、出ましたねぇ・・・。

 

それと、皇女を殺めた犯人は

何と隆範だった!

という説もあるようなのですが

 

作者はその点においても

独自のストーリーを仕立てて

説得力のあるものにしておりますので

そのあたりも読んでいただけると

嬉しいです。

 

平安後期、それも中関白家没落後の

社会にご興味のある方は是非この

本を手に取ってください。

 

図書館にありますよ~。

(私も図書館で借りた)

 

重ねて言うけど、

彰子や小一条院敦明親王と

仏師・定朝がここまで関わり合いが

ある世界なんて想像も出来ません

でした。

 

そして、そればかりではなく

死後犬に食われた皇女の事件を

ストーリーにからませてくるとは!

 

この作者の想像力には恐れ入ります。

 

 

可哀想・・・という言葉では言い表せない

ほど無残な最期を遂げた実在の皇女様。

 

しかしこの小説の中で、彼女の存在は

光り輝く者として見事に昇華されたのでした。

 

 

あ、また涙出そう・・・泣くうさぎ