母は、自分が幼稚園に入る前、入院をした時期があった。病名は、なんとなくしか知らない。
その時は、少し離れた母方の祖父母の家でお世話になった。兄と弟は近所の父方の祖父母にお世話になったので、結局自分一人が汽車に乗り母方の実家へ行きました。
半月から一ヶ月ぐらいだそうだが、幼い自分は一年ほど母と離れていたような気がいまだにしている。
昭和の田舎。今ではありえない。幼稚園に行く前の自分を汽車へ一人で乗せ、ボックスシートの前に座っている人の良さそうな老夫婦に「この子は、○○で降りますのでもしよかったらお願いします。」と母は頼んでいた。老夫婦は、自分と同じか、それより後まで行くのでしょう。快く了解してくれたことを、なんとなく覚えている。
汽車が出るまで、「お母さん。行きたくない~」と言って泣きました。母は「お母さんもよ。でも、おじいちゃんとおばあちゃんが楽しみに待っているからね・・・」と泣きながら自分を説得しました。
母を施設に頼むことになったら、また母子で泣きながら別れるのだろうか・・・と、全く関係ないが小さい時のことを思い出し最近時々胸が痛くなる。よく覚えているなぁ、と感心すること半分。歳をとったと思うこと半分です。
汽車の中では、前の老夫婦に駅名を教えてもらったり、みかんを頂いたりして、楽しく移動。到着駅では祖父が迎えに来てくれて、母と泣いたことはすっかり忘れてはしゃいでいたことを覚えている。それもまた、今思うと少し悲しのは、やっぱり年をとったのだと思います。
