私はある朝パチンコホールに居た。
何と安易な考えであろうか、借入金をギャンブルで返済するべく、早起きが苦手な私はそこに居た。
まだ肌寒さが残る春の朝。空は雲一つ無く澄み渡っていた。
今から戦場へ赴く自分にとってはこれ以上無い程に良い天気だ、などと馬鹿な事を考えていた。
平日の朝一番にも関わらず、それなりに賑わっている繁華街のパチンコホール。
開店後、一時間も経過しない内に空席は殆ど無くなっていた。
この借り入れた3万円を元手に全てを帳消しにする。
皮算用をしながら私はハンドルを捻っていた。
この戯れ言をご覧になっていて、且つ、借金苦に喘いだ経験のある諸兄は一度は考えた事があるであろう。
一時の借金ごとき、一日あれば無かった事に出来る。おまけに、運が良ければそれ以上の金銭を手にすることが出来る。文字通り利息を付けて返してやる。
救い様の無い、極めて甘い考えである。負ける事など一切考えていなかった。
そう長い時間が経たない内に、他の遊戯客が一つ、また一つとドル箱を積 み重ね始めた。
パチンコは確率。自分が打っている台は良く回るし、悪くて400回も回せばチャンスは自分の方にも自ずとやって来る。
パチンコ台の液晶画面を右から左に泳ぐ魚達は私をその気にさせた。
