ついにユヴァル・ノア・ハラリの著作「サピエンス全史」を読み終えた。

本作を一言で表すなら「目から鱗が落ちる本」。

わたしたちが普段感じている違和感を唯物的な視点で捉え、現実的で分かりやすい解釈を交えて教えてくれる良著である。

 

本著の最大の功績は、人類の繁栄の源泉が「虚構」にあることを示したこと。

虚構を信じることで、わたしたちは見知らぬ他人とでも協力して事に当たることが出来る。わたしたちにとって当たり前のこれが、自然界では例外中の例外ということだ。

 

また、イデオロギーや○○主義といった思想を宗教という枠組みに整理したことも偉大だ。

これらも結局は虚構で思い込みなわけだが、わたしたちの暮らしの根幹に関わる内容であるため、どうにも理解を拒む本能が感じられる。「常識」という壁が壊れるのに嫌悪感を覚えるのは、それも人の本能なのかもしれない。

 

本書は人類の未来についても語っているが、この辺りはさすがに個人の思想だろう。というのも、未来が予測できないということ自体、この本で述べられている内容の一つである。それでいて、歴史を学んで視野を広げることで、この世界には自分の想像以上の可能性があることを心得ておく必要性も説いている。

 

本著の最後の問いかけは「私たちは何を望みたいのか?」というもの。

人類全体で見れば、人類は想像しうるあらゆるものを実現できる。しかし、実現したからといって、それが本当に人類の幸福に繋がるのかは分からない。そもそも、幸福は極個人的な快楽に過ぎない。だというのに私たちは「何か」に飢え続けている。この「何か」が何なのか、それを自身に問うことの大切さを著者は告げているのだろう。

 

以上は本著のほんの一部分にしか触れていないが、本著の内容はとても幅広く、それでいて身近に感じられるものである。少なくとも、わたしの人間関係についてのここ数年の悩みに対して一番飛躍させてくれた本にはなった。これは、それだけわたしは目の前にある情報を正しく整理することができないという証左でもある。「無知の知」という言葉の真意がどれだけ深いのかと言うことを改めて身に積まされた。