あーあ。


ハンカチをそっと
何も言わずに隣にずっと
誰かが どこかで
泣いているの、と



さっきまで此処に居たのに



『ごめんね』。 と
『ありがとう』。 を
いつまでも 笑って、いつまでも
変わらないと、このまま
永久に続けばいーのに
あそこの花屋の角を曲がったら



手を伸ばせば届いたかもしれないのに



キャンディーみたいに弾けて
サイダーのように溶けていく
シャボンの泡がふわふわと
金魚みたいに泳いでいる

捨てられたんじゃないんだ
別れたんだよ 僕たち
捨てネコなんかじゃないんだよ
こうするしかないんだ ぼく

愛おしいあの娘は
傘などささずに
恋する誰かのポケットに
飛べないあの娘は
ホウキを持って
紫陽花の咲く通りを







6月の雨が降る
夏を告げる雨
誰もいない公園のベンチ








僕、野良猫なんだ
誰かが泣いている午後
キライじゃないよ


僕も一緒に涙を流そう