3年前になりますが、まだ私が独身で一人暮らしをしていた時の話です。
ある休日の朝、ドアを叩く音で目が覚ました。
誰だろうとドア越しに外を覗くと、誰もいませんでした。
僕が住んでいたマンションは、家族住まいが多く子供も多いので、どこかのいたずらっ子がやったんだと思いあまり気にしませんでした。
ところが、その日からドアを叩く音が続くようになりました。毎朝その音で目が覚めてしまい、寝不足で仕事に集中できなくなっていたのです。
集中できなくなった理由はもう1つあり、ここ最近、近所で殺人事件があり、それも頭にひっかかっていて……
そこで、会社の同僚達に相談することにしました。
「ストーカーでもされてんじゃないの」
と、笑われはしましたが、寡黙そうな1人の同僚が、
「俺がそいつを捕まえてやる」
と言ってくれました。
あまり仲のいい同僚ではなかったのですが、家に呼び同僚と2人でその日を過ごすことにしました。
2人で朝まで会社の事について話しあいました。
その日の朝はドアの音もせず、ただの話会にになってしまって……
それでも気になる僕は、同僚達にまた相談すると、
「誰がやっているのかわかるよう、玄関外に監視カメラを設置たほうがいいんじゃない」
と助言されました。
いいアイディアだったので、その日に監視カメラを買い、これでもう大丈夫だと思いましたが、その日は寝れませんでした。
しかし、翌朝も案の定ドアの叩く音が聞こえました。
監視カメラを設置したから大丈夫と思いつつも、外を覗いたのですが誰もいませんでした。
その日は残業がなく、早く会社から帰ってこれたので、早速カメラを見ました。
しかし、いくら映像を眺めても、犯人らしき人物は映りません。
退屈な映像に連日の寝不足で何度も寝てしまいそうになりましたが、諦めずそのまま見続けました。
1時間ほど経過すると、自分が出てきて鍵を掛け、階段の方へ歩く様子が映りました。
結局犯人など映っておらず、「もしや、あのドアの叩く音は霊の仕業か」と思った瞬間、背筋が凍る映像を見てしまったのです。
自分の姿が見えなくなった瞬間、自分の家のドアがゆっくりと開いたのです。
そこには……
寡黙そうなあの同僚が監視カメラの方を向いてニヤツき何か言っているのです。
「こ…ろ…さ…れ…ず…にす…ん…だ…ね」