〔んで?何をそんなに悩んでいるわけ?〕
久しぶりに美紗さんとランチ。
って言っても、二人きりなわけではなく、もちろんひーちゃんも一緒。
美紗さんの知り合いのお店の2階の個室。
個室だから、子連れでもそれほど気にならない。
ひーちゃんはお腹がいっぱいになったところで、やや眠たくなってきたみたい。
私はひーちゃんを片手で抱き、寝かしつけながら目の前に置かれたパスタに手を伸ばした。
〔色々と大変なのはわかるけど、旦那様と子どもと、幸せなんじゃないの?〕
「うん…幸せだよ。」
〔でも何かある…と。亮太が心配してたよ?姐さん聞いてやってって。相変わらず、潤くんにしろ、うちの翔にしろ亮太にしろ、みんなが彩ちゃんに甘々なんだから。フフ〕
「ごめん…」
〔聞くから、ちゃんと話してみて?〕
私は勇気を出して、我が儘過ぎる悩みを美紗さんに打ち明けた。
このままでいいのかな?
単なる私の我が儘なのはわかってる。
でも、ひーちゃんに友達が欲しい。
私自身にもママ友が欲しい。
良いことやそうでないことも含め、色んな経験をさせたくて、当たり前のように普通に育てていきたい。
いや…
尤もらしいことを言ったって…
たぶん1番の悩みは…問題は…これだ。
何より私が…外の世界に出たいのかも…
「色々とわかってはいても、やっぱり現実として、ひーちゃんをもっと広い世界に出してあげたいって思うし、私自身もこのまま閉鎖的な環境にいたらおかしくなりそうで…」
〔そっかぁ…〕
「贅沢なのはわかってるんだけど…ずっとひーちゃんと二人でいると、マイナスなことばっかり考えちゃって…」
〔確かに…そうねぇ。〕
現実として、保育園に通うことは不可能だ。
たぶん私は最初からわかってた。
潤くんの子どもとして公表出来ない現実、どうやって手続きしていくのか?
だいたい、待機児童が多いこの世の中、そんな簡単に保育園が決まるとも思えない。
ひーちゃんをもっと広い世界で過ごさせてあげたいのは本当のこと。
このまま狭い世界でいいわけない。
潤くんに…「ひーちゃんを…保育園に預けたらダメかなぁ…」って、前に少しだけ聞いてみた時に言われた。
「ひーちゃん、このまま私と二人きりの生活では絶対寂しいと思うの。同世代の子と触れ合う時間も大事だし…そういう経験をさせてあげたいなって…」
『う~ん…そうなんだろうけどさ…』
最初からわかってた答え。
『彩が大変な時にはうちの母親が面倒見てくれるんだし、今はまだ…あんまり外には出したくねーんだ…ごめん。』
それを言われて、それ以上言えなかった私。
言えなかったのは、潤くんが言っていることが正しかったから。
そして、私の1番の悩みが…
自分自身の我が儘だってわかっていたから。
ずっとモヤモヤが消えなかったのは…そういうこと。
〔私はまだ結婚していないし、子どももいないから…たぶん彩ちゃんの本当のところはわかっていないのかもしれない。でも、パートナーが彼らだって意味では同じ立場でものを考えられると思うの。だから…これは…酷な言い方になってしまうかもしれないんだけど…〕
美紗さんは私に真剣に向き合ってくれた。
〔全部手に入れるのは…無理なんじゃない?結婚、子どもって…それだけだって彼らにはすごく大変なことで…彩ちゃんにだって同じことでしょう?色んなことを乗り越えてやっと叶って手に入れた幸せなんだし、今はその幸せを守るのが彩ちゃんの役目じゃない?違う?〕
うん、その通りだよ…