「んっ…」
唇に何か温かいものを感じた私。
「ん…あれ…?」
そうだ、私いつの間にか寝ちゃってたんだ。
どれくらい寝てた…?
って…先生、今…キスした?
『おはよ。フフ』
「寝ちゃってた。」
『疲れた?いいですよ、寝てて。』
「ううん、寝ない。」
『そう?』
「寝たらもったいない気がするもん。」
ディズニーランドの帰り道。
先生の運転する車で家まで…
そういえば、さっきのは大丈夫だったのかなぁ?
「先生?」
『ん?』
「さっきの…大丈夫だった?」
『ん~まぁ。彼女いるんだぁとか何とか質問責めでしたけどね。』
「ごめんね、私が我が儘言ったから…」
『何でカナが謝んのよ?誘ったのはワタシなんですから。フフ』
「…」
先生とのディズニーランドデートで始まった春休み。
もちろん塾も休まず通ったし、先生は春休みだからと言って学校が休みなわけじゃないから、ずっと一緒ってわけでもないけど…
でも結局、ほとんど毎日先生の部屋へ遊びに行ってた。
友達からの誘いも、今は断って…先生と一緒にいたい。
すごくすごく好きで…たまらない。
毎日毎日不安にもなる。
先生がちゃんと私を好きでいてくれるのか…
このままずっと一緒にいられるのか…
いつか…誰かにバレるんじゃないかって…
考え出したらきりがないくらいに。
誰かを本気で好きになる自分に初めて出逢って…
自分がこんなにも相手に依存してしまうタイプだなんて思いもよらなかった。
色んなことへの不安や戸惑いが私を襲う。
『どうした?』
「ううん、何でもない。」
『メシ食ったら送ってくから。』
今夜の夕飯は私が作ったカレー。
先生は美味しいって食べてくれた。
だから私は先生のその一言で舞い上がる。
また好きが溢れるの。
『カナ?』
「ん?」
『何か変なこと考えてます?』
「変なことって…?」
『…』
先生はほんの一瞬困った顔をした。
『どうかしました?何かあるなら、ちゃんと聞きますよ?』
先生は何でもお見通しなんだろうか…?
「先生が好き過ぎて…」
『はい?フフ』
「笑わないで…」
『はいはい。フフ』
「好き過ぎておかしくなる…」
『困った生徒ですね。フフ』
そう言って、先生は私を抱き寄せた。
先生の胸で大きく深呼吸する私。
うんと先生の匂いを吸うと落ち着くの。
『どうすればそのセンチな感じは治るんですかねぇ?フフ』
どうすればって…そんなの私にもわからないけど…
『これ以上可愛いこと言うとこのまま押し倒しますけど?フフ』
「…」
『冗談ですよ。フフ
早くカレー食べなきゃ。遅くなるとママが心配するでしょう?フフ』
抱きしめていた腕を解放して、先生は再びカレーを口に運ぶ。
「押し倒してくれてもいいのに…」
先生のスプーンを持つ手が止まった。
『だから…そんなこと言ってると本気で押し倒しますよ?』
「いいもん…」
『…』
先生の手が…私の肩に触れて…
それからゆっくりと後ろに倒されて…
床に横たわった私の顔の横に先生の両腕が…
『どこか満たされないって顔してるのはそういうことなわけ…?』
「…」
『ったく…』
もしかして…怒ったかな…?
私に覆いかぶさっていた先生は徐に立ち上がりキッチンへと向かったんだ。
プシュ…
キッチンからは缶のプルタブを開ける音が聞こえる。
缶ビール片手に戻ってきた先生。
私は起き上がり先生の隣に座った。