『じゃあ…また連絡するわ…』
「うん…」
翌朝、俺は彼女を自宅の玄関先で見送った。
タクのじーちゃんに怒られないようにちゃんと始発で千葉へと向かった彼女。
俺の部屋からってことは…
つまりは…そういうこと。
そこに感情があるのか無いのか…いや、少なくとも俺にはあると思うけど…
再びのアクシデントなのかな…?
ちげーよ、これは歴とした恋の始まりなんだって…
思ってたんだけどさ。
プルルルルル…
プルルルルル…
プルルルルル…
‘留守番電話サービスセンターに接続します’
何度電話したって機械的な音しか流れなくて。
あの海の家で働いているのはわかっているから、会いに行けばいい話なんだけどさ…
仕事もあるし、会いに行ける時間も限られてるから…
メールもしたよ。
でもあんまり何度もするのはこっちばっかガッツいてるみたいでカッコ悪いじゃん?
だから…
『はぁ…俺、やり逃げされたかも。』
(は?それ逆じゃねーの?フフ)
『俺は逃げたりしねーし。』
思わずニノに愚痴っちゃったよ。
カッコ悪ぃよな…
早くしねーと、夏が…
終わっちまうんだって。
『あれ?マツジュンどうしたの?ちょっと怖くね?』
(事務所呼び出しですって。色々言われたらしいよ。)
『そっか…』
楽屋で若干ピリピリした様子のマツジュン。
最近の夜遊びを注意されたらしいとニノから聞いた。
まぁそういうこともあったりなかったり。
俺もそのうち言われるんじゃねーかって…ちらっと頭の中に彼女のことが過ぎったんだ。
でもやっぱ気持ちに嘘つけねーじゃん?
『行ってみるか…』
次のオフにあの海へ行くことに決めた。
決めたんだけどさ…
♪~♪~♪~♪
嘘っ?マジかよ?

慌ててるから携帯を落としそうになって、一人であたふた


(大丈夫?クックックッ)
そうニノに笑われたっけ。
『も、もしもし?』
「もしもし…?」
『何?どうした?』
「何って…何度も連絡くれたでしょう?」
『あ…うん…』
「だから…何?」
『あ…別に用は無いっつーか…無くねーけど…』
「用が無いなら切る…」
『えっ?ちょっ、待って!
用はさ…だから…


次!だから次だよ!

』「次?」
『次…いつ会えるのかなって…』
「…」
『何か言えよ…?』
「そう言われても…」
俺に会いたくねーみたいじゃん?
やっぱあの夜のことは無かったことにすんのか?
俺、やっぱやり逃げされんの?

「私…この夏が終わったら…アメリカに行こうと思ってる。」
『は?アメリカ?』
「ここでのバイトももう後少しで終わりだし、そしたらちゃんと事務所とも話して…向こうでまた一からスタートしようかなって。」
それがどういう意味なのか、彼女が何を思って、悩んで、考えて出した結論なのか俺には…
俺にはわからなかった…