と、とりあえずメール…

‘手帳のことなんだけど、色々事情があって返ってきたの。
会社に耕平くんが届けてくれて…だから、帰ったらちゃんと話すけど誤解しないでね?’
そうメールを打った私。
年末のこの時期、ただでさえ忙しくて目が回りそうなのに、私の頭の中は雅紀でいっぱい。
今日も大量の資料が入った鞄片手に外回り。
「もしもし?えっ?どういうこと?」
担当エリアの店舗でトラブルがあったと報告が入る。
「とりあえず今から向かいます。」
電話を切り、点滅している横断歩道を走って渡る私。
すると次の瞬間目の前に…
鞄に入っていたはずの資料が宙を舞って見えて…
えっ…?
えっ…?
ピーポーピーポー…
遠退く意識の中で微かに聞こえた救急車のサイレンの音。
気が付いたのは…
病院のベッドの上だった。
「あ、あの…私…何で?」
傍にいた看護師さんに尋ねてみる。
‘バイクに跳ねられて救急車で運ばれたんですよ?
一応頭も打っていますし、精密検査しましょうね?’
嘘でしょう?

‘それと、一応ご家族の方には連絡を取っておきましたので。
あと、何かご心配なことはおありですか?’
「えっと…だい…じょうぶだと…」
‘では少しお待ちくださいね。’
事故…って…
私どこも痛くないし…
意識もしっかりしてるし…
早く帰って仕事しなきゃでしょう?
もぉ~こんな時にツイてない

お母さんがわざわざ千葉から来てくれた。
ちゃんとよく見て渡りなさいって、まるで小学生の子どもみたいに怒られた。
懐かしいこの感じ。
そして、そう言えばちゃんと連絡したのか?って聞かれて…
「連絡?誰に?」って思って…
あれ?
誰に?
お母さんの言っている意味がわからなくて…
私は遠山沙織。35歳。
住所は…
先生にも色々質問された。
でもたいていの質問には答えられて…
でも…
相葉さんのことわからないの?ってお母さんが青ざめた顔してる。
相葉さん…?
ん…?