潤side―
翌朝―
シャワーを浴び終えバスルームを出ると、部屋中にコーヒーのいい香りが漂っていた…
彩はこうして毎朝コーヒーを煎れる…
それはインスタントでもなく、コーヒーメーカーでもない、ペーパードリップでゆっくりと煎れるんだ…
お互いすれ違いの生活の中で、この時間がどれだけ大切か…
俺は彩を後ろからきつく抱きしめたんだ…
耳元に唇を寄せると少しだけビクッてなって、そして恥ずかしそうに俯く彩…
ドラマに入るとマジで一緒にいられる時間が取れなくて、出来る限りこうした些細な時間を大事にするようにしてる…
けど、俺自身が仕事にのめり込み過ぎちゃうトコあんだよな…
たぶん気づかないうちに寂しい思いをさせてんだろうな…
彩…ごめんな…
〈彩ちゃんって、いつから酒飲まなくなったの…?〉
朝、コーヒーを飲みながら旬に聞かれた…
彩はもう仕事に出かけた後だったんだけど…
『ん…?そんなことないんじゃね…?』
〈そぉか…?〉
全然気にしてなかった…
少し元気がないように感じていたけど、それはやっぱり俺がドラマに入っているからで…
いつものことで…
申し訳ない気持ちもあるし、どうにか心の距離を保とうと努力しているつもりだし…
第一、俺と彩は深い絆で結ばれてるんだ…
彩は運命の女…
仕事が終わり部屋に帰ると彩が待っていてくれる…
どんなに疲れていても彩を抱きしめて眠れば…
守るべき存在がいる強さを感じてた…
俺自身、そんな気でいたんだ…
〈潤はさ、彩ちゃんじゃないと絶対ダメだな。今、彩ちゃんのこと考えてますって顔に書いてあるぞ…ハハ〉
「うるせーよ…そういう旬だって優じゃねーとダメじゃねーかよ。浮気しても許してくれるなんてそうそういねーだろ?」
〈うるせー…ハハ〉
別にあんまねーけど、たまには男同士でそんな話をする時だってある…
彩が隣でいつも笑っていてくれれば…
要するに男ってのは…
単純な生き物なんだ…