“美味しいワインが飲みたい♪”
美花から、たった一行のメール…
私、今ちょっと暇なんで…(笑)
すぐにメールに返信したんです…
あいつからメールなんて滅多に…
いや、たぶん今まで無かったんじゃないかな…?
何かあったんですね…きっと…
待ち合わせは土曜日の夜8時過ぎ…
あいつが土曜も仕事で、その時間にしか行けないって言うんで…
まぁ夜の8時から飯食ったとして、電車で数時間の距離に住んでるあいつは確実に家に帰れないですよね…?
彼氏でもない男と飯食う為にわざわざ東京に来て、しかも帰れないって…
あの人そこまで考えてんですかね…?
一応、私も男なんですけど…
「あ~嵐だぁ~♪」
迎えに行った私の顔を見ていつものお決まりのセリフ…
フフ…
何でもないフリして明るく振る舞って…
別にいいですけどね…
『今日俺らが会うこと翔ちゃん知ってんの…?』
「言ってない…」
『ふ~ん…』
助手席に座る美花はずっと窓の外を眺めていた…
この人のこと、わかってあげられる人がちゃんと傍にいるんですかね…?
転職して頑張ってるって言ったって、この人ドMなんで限界まで溜め込んじゃうんじゃないですかね…?
弱音の吐き方が下手なんですよね…
まぁ、今夜はとことん付き合いますか…♪
「あぁ~美味しい…♪」
『フフ…』
「なぁに…?」
『いや、別に…』
重い赤ワインを幸せそうな顔をして飲む美花…
「ねぇ、聞かないの…?」
『聞いて欲しいの…?』
「別に…」
この人は聞かなきゃ絶対言わない…
でも聞いたって全てを話すわけじゃないんですよね…
『まぁ今日は私のおごりなんで、好きなだけ飲めばいいじゃない…?』
「わ~い!じゃあ一番高いヤツくださ~い♪」
それから、手の甲をネズミにかじられる夢を見たとか…
翔くんの顔がおにぎりに見えたとか…
左肩が痛いから何か乗ってるんじゃないかとか…
色々、ベラベラと喋る美花は…
いつの間にか泣いていた…
「グスン…ひっく…」
『あ~ぁ、酷い顔…フフ』
「もう…煩い…グスン…」
『美花は美花なんだから…それでいいんじゃない…?』
「和…グスン」
『まぁアレですよ。こうして私に連絡してきたなんて偉い進歩じゃないですか…?』
美花はたぶんこんな顔翔ちゃんには見せないと思う…
私だけが知ってるんですけどね~
でもこの人、ホント自覚ないんですよ…
「ずっと…グスン…心の中で…ひっく…翔ちゃんの名前呼んでたの…」
『はい…?』
「怒られてる時…グスン…翔ちゃんの名前…」
『わ~わ~わ~!信じらんない、この人!!ビックリだわ…あ~やだやだ!!』
「自分でもわかんないんだもん…うぅ…グスン」
『はいはい…全くあなたって人は…』
翔ちゃんは気づいてないけど、美花はずっと翔ちゃんが好きだった…
ってか、美花本人もその感情に気付かないでいた…
コンサートの時は俺のうちわ持ったり、この人ホントそういうトコ謎で…
だから余計に不器用な翔ちゃんはそんなことにも気づかずに私と美花のことでイライラしてた…
いい加減気付きなさいよ…
「もう帰る…グスン」
『はぁ?今からどうやって帰るんですか…?電車とっくにないでしょうよ…?』
「じゃあどっかその辺にでも泊まる…」
『一人でまた泣くクセに…』
「泣かないし…」
『とりあえず行きますよ…?』
「行くって何処に…」
『私ん家に決まってんでしょうよ…?』
「だって彼女が…」
『あ~亜希は今日締め切り前なんで会社に泊まりです。いいから行きますよ…?』
「でも…」
まぁ今夜は美花が気が済むまでとことん付き合いますよ…
心配しないでくださいね…?
亜希にはちゃんと連絡するんで…
それと、もう一人連絡しなきゃならない人が…
プルルルル…♪
『あ…翔ちゃん…?今、美花と一緒なんですけど…』
あの人、飛んで来るみたいですよ…(笑)
☆special story2☆
お・し・ま・い