「んふふ♪そんなこと言わずにどうぞ♪」
空いたグラスにワインを注ぐ…
両手でボトルを持ち、グラスに注ぐ私の隙をお偉いさんは逃さない…
「キャッ…!」
ボトルだけは落とさないようにと何かの本能が働いた…
この際そんなのどうでもいいはずなのに…
お偉いさんの手はしっかりと私の胸を捕らえたの…
咄嗟に出た声…
全身に悪寒が走る…
はぁ…
はぁ…
はぁ…
あの時の悪夢が蘇る…
マズイ…
この発作は…
ちょうどその時、美紗さんが戻って来て私の変化に気づいてくれた…
“ゆっくり息して。それからあとは任せて。”
口パクでわからないけど、たぶんそう言ってくれていたんだと思う…
私と美紗さんでお偉いさんを挟む形で座る…
[ねぇ凜子さんが飲まないなんてズルイですよね~?]
お偉いさんに甘えた風にそう問い掛けた美紗さん…
[この際、凜子さんじゃなくて私主演に変えちゃいません?]
お偉いさんの顔を覗き込み、手はお偉いさんの膝の上に置いている…
美紗さんだって凜子さんに負けないくらいとびきりの美人だもん…
下手したらそんな冗談が冗談じゃなくなるかも…
そんな風に思えるくらいにお偉いさんは美紗さんにやられていた…
すぅ~はぁ~
すぅ~はぁ~
大きく深呼吸する私…
[じゃあ、みんなでもう一度乾杯しましょ?♪]
仕切なおして、今度は凜子さんも交えて乾杯する…
〈ん~美味しい♪みんなも飲んで飲んで~♪〉
これはきっと口癖なんだ…
盛り上げるフリして実は自分があまり飲まない為の作戦…
相手に散々飲ませて自分はおいしいとこを攫うんだ…
そうはさせない…
「凜子さん全然飲んでないじゃないですかぁ~」
今度は私が凜子さんのグラスにワインを注ぐ…
「凜子さんって、意外とお酒飲めないんですね♪つまんな~い♪」
お偉いさんは私たちを“可愛い”“綺麗”と褒めまくり上機嫌…
いつの間にか凜子さんはかやの外…
さすがに面白くないらしい…
[凜子さんそんなんでもうギブアップですか?フフ]
〈まだ飲めるわよ!〉
大人気ないのはわかってる…
こんなのするべきじゃないけど…
結果、こうなっちゃったんだもん…