潤side―
それから、いよいよ舞台の稽古も本格的になって、稽古終わりに共演者と飲みに行くこともしばしばで…
もちろん他の仕事もあるし…
そういえば最近彩の寝顔しか見てないなって日が続いてた…
でも仕事だから仕方なくて、彩もそれをわかってくれてる…
疲れて帰って、ベッドに入ると一瞬だけ“おかえり”って目を覚ます彩…
またすぐにスースーと寝息をたてるんだけど、それが今の俺の一日の終わりっていうか、リセットボタンっていうか…
また明日も頑張ろうって思えるんだ…
そんなことがもうひと月くらい続いてた…
〈潤くん、台詞合わせ付き合ってもらえる?〉
『あっ、いいっすよ…』
その日は凜子さんと二人で残って稽古してたんだ…
〈ココ、もっとこうした方がいいと思うんだよなぁ?〉
本番までそんなに日もないから真剣に話し合って、稽古して…
〈好きよ…?〉
『えっ…?』
凜子さんの腕が俺の首に絡まり、今しっかりと見つめられている…
確かにヒロイン役の凜子さんが俺にそんなセリフを言うシーンがある…
でも今まで全く違うシーンを台詞合わせしていたから、突然でちょっと驚く俺…
『あっ、そのシーンやります…?』
慌てて台本をめくると…
〈ねぇ、潤くんってさ…鈍感なの…?〉
『えっ…?何がですか…?』
まだ凜子さんの腕が首に絡まったままで…
〈そんなとこも可愛いけどね…〉
『凜子さん…?』
〈ねぇ潤くん…?〉
『えっ…?』
ゆっくりと顔が近づいてきて…
『凜子さん…いやっ…ちょっ…』
咄嗟にぐいっと凜子さんを押し退けたんだ…