先月　母に電話で病気のことを伝えると

切ないくらいに驚いていた

23歳で結婚をし　家を出て

それから一度も実家に泊まったことはなかったので

退院後は久しぶりの実家暮らしになる

母が

「用意しておくものとかあったら

全部揃えておくから言って」と言うので

「入院中のものをお洗濯したいから

洗濯機を貸して欲しい」と伝えると

「それはいいけど　洗濯なんて私がするから

もっと他に何かないの？

食べたいものとか？欲しいものとか？」と言う

姉が言っていたらしい

「マリちゃんは遠慮して何も言わないだろうから

ちゃんと聞き出しておいて」と

ありがたいですね

手術の予定が変更になったことを伝えようと今日また電話をした

実家には未だに父の遺品や

もう一人の育ての親である伯母の遺品が

置かれている部屋がある

父は家が完成した直後に天に帰ったので

新しい家で一日も暮らすことはなく

長い間遺品だけが眠り

開かずの間のようになっている

「いいきっかけになったわ

こんなことでもなければずっとあのままだったから・・・」と呟く母

物置のようになっているとは言え

私にとってはなんとなくそこは父の部屋だ

「マリちゃんが帰ってくる」と

母と姉が遺品を片付け　

和菓子屋時代の職人さんやその娘婿さんまで駆けつけて

必要以上にたくさんの人が集まって

手作りのリフォームをしてくれているらしい

壁紙を張り替え　

ブルーのカーテンを付け

可愛い照明に取り換え

姉が　「マリちゃんを床になんて寝かせられない」と

ベッドまで用意してくれるそうだ

「マリちゃんに喜んでもらえるように」と

それはまるで一大イベントのような賑やかさらしい

私は今まで家族とはあまり縁がないのかな・・・と感じていて

迷惑がられるだろうと思っていた

だから意外な展開に嬉しさが溢れてくる

職人さんたちももう歳で

耳が遠かったり　認知症が始まっていたりで

あっちこっちがちぐはぐで

すったもんだのリフォームドタバタ劇の話を母から聴き

笑いながらも　そのぎこちない温もりに涙が溢れた

退院後はたくさんの人が訪れて賑やかな日々になりそうだ

「何も心配しないで安心していなさい」と言う母の言葉を聴きながら

改めて強い女性だと思った

85歳とは思えないパワーだ

「マリちゃんに絶対に嫌な想いはさせないから大丈夫よ

楽しみしていてね」

母の一生分の愛を感じた瞬間だった

たくさんの気付きを与えてくれた病気に感謝です

母にも　父にも　姉にも

職人さんたちにも

そして　願いや祈りを捧げてくださっている皆様にも

心からの感謝を贈ります

退院後は父の部屋で眠ります

きっと喜んでくれると想います

全ては父の仕業なのかもしれない・・・

そんな風に想っています

父の部屋は北側に面しています

ポラリス　見えるかな・・・

温もり溢れる部屋の窓から見る星空を楽しみにしています

明日も愛に満ちた一日でありますように・・・

おやすみなさい

ぬくもりの部屋