悲しい時はできるだけ小さく丸まっている
空気は冷たく
静寂さえも肌に刺さるように痛いから
できるだけ小さく 小さく 小さく・・・・・・
そうして 私は願っている
悲しみから遠ざかり
深い眠りに落ちてゆくことを
この世界には私の心が帰る場所などないから
眠りの世界の何処かへと探しにゆくのだ
その場所を見つけたら全速力で駆けてゆきたいのだけれど
悲しみの茨が私の意識をこの世界に縛り付ける
もがけばもがくほどきつく
そうして眠れないまま時間だけが過ぎてゆく
眠れずに窓の外を見ると
作り物のような月と天から吊るされたような星が
冬の乾いた空に光っていた
フェイクのような夜空をぼんやりと見つめていると
風に揺れる藍染の織物のように
夜空がやわらかくなびいた
1月の真夜中だと言うのに
彼方から訪れた風は微かに春を含んでいるようだった
成熟した大地と若草の甘い香り
未来を運んできたかのような風を胸いっぱいに吸い込むと
心が微かに春めいた
春になれば
この悲しみの茨は朽ち果て
水浅葱色のツルが優しく手を差し伸べてくれる
きっと
もう少し先を見てみたい気持ちになった
春の花咲く丘でアゲハ蝶のように羽ばたく私の心を
1月の夜風はそっと予言を告げると
過去へと去って行った
今 私はゆっくり訪れる春を感じている
あたたかくて 優しい陽だまりの中で
差し伸べられた手を握りしめている
明日も愛溢れる一日でありますように・・・
おやすみなさい