何かの本を読んだり、誰かの話を聞いたりして
モヤモヤと考えたことが体の内側を通って、おなかの辺りでふっと解けることがある。
その後に、変化が始まる。
徐々に もしくは あっという間に。
今まで慣れ親しんできたヒトとの お別れです。
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別れは いつも突然に起こります。
駅のプラットフォームのベンチで目が覚めて
隣に座っている彼女(もしくは彼)を発見する。
名前は知らず、顔もよく認識できない。
(こういうヒトは多いです。でも、相手の感情はよく伝わります。)
私は彼女を知っている。
だって、ずっと一緒にいたから。
そして、今が別れの時だと知ってびっくりする。
今、ようやっと姿が見えたばかりなのに、もう お別れなんです。
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別れなければならない。
これからのために。
別れなければならない。
そうすることで、今後 もっと良い状態になる。
私も彼女も、それを知っている。
でも私はグズグズと考えてしまう。
なんと声を掛ければいいのか。
今まで色々あったはずなのに、上手く言葉にできない。
謝罪すればいいのか、感謝すればいいのか・・・・・・
現状維持を続けたくて、私は ただ黙って座る。
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そうするうちに、彼女がすくっと立ち上がります。合図だ。
「えっ」
私が振り向いた時には、もう彼女は薄くなっている。
そして、キレイな感情が私に届く。
愛情とか、信頼とか、元気でね とか。
とても澄んで穏やかな感情を私に投げる。
対する私の方は、とても ぐしゃぐしゃしている。
何を言おうか、結局 決まらなかった。
彼女が消える直前に、かろうじて「ありがとう」と言えて
それを彼女が受け止める。彼女が微笑む。消える。
消えた。
茫然として、じわじわ悲しみが湧いてくる。
これからのために、今、別れなければならない。
今後は もっと良くなる。きっと私は もっと幸せになる。
それでも、さよならは いつだって悲しい。