さて、イエスが神殿の境内を出られると、弟子の一人が言いました、「師匠、ご覧ください。なんと素晴らしい石、なんと素晴らしい建物でしょう」。すると、イエスは仰せになりました、「これらの大建築のことか?積み上げられた石が一つも残らず、崩れ去る日が来るであろう」。

 そして、イエスがオリーブ山で神殿の方を向いて座っておられると、ペトロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレだけが来て、イエス様にそっと尋ねました、「私たちに話してください。これらのことはいつ起こるのですか?また、これらのことが全て実現される時には、どんな徴がありますか?お話しください」。そこで、イエスは語り始められた、「誰にも惑わされないように気をつけなさい。多くの者が私の名を騙って現れ、『私がキリストだ』と言って、多くの人々を惑わすであろう。また、戦争の騒ぎや戦争の噂などを聞いても、慌ててはならない。そう言うことは起こらなければならないことであるが、まだ終わりではない。民は民に、国は国に逆らって立ち上がり、あちらこちらで地震があり、飢饉が起こる。これらは悲しみの始まりに過ぎない」。


 迫害の預言(マタ㉔・9―1317―22]、ルカ㉑・12―1911―12])


 「注意しなさい。人々はあなた方を地方法院に引き渡すであろう。あなた方は会堂で打たれ、また、私のことで、総督や王たちの前に立たされる。それは、彼らに証言するためである。10なぜなら、世の終わりの前に、福音が全ての民族に公表されるからである。11あなた方は引き渡され、連れて行かれる時、何を言おうかと前もって心配することはない。ただその時、あなた方に恵まれる御言葉を語れば良い。語るのはあなた方自身ではなく、聖霊である。12また兄弟は兄弟を、父は子を死に渡し、子供たちは立ち上がって両親に逆らい、死に渡すだろう。13また、あなた方は私の名のために、全ての人に憎まれる。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる」。


 大いなる苦しみ(マタ㉔・15―22、ルカ㉑・20―2431


14「さて、預言者ダニエルが語った、『荒廃をもたらす憎むべき者』が立つべきではない所に立つのを見たなら  読者は悟れ  その時、ユダヤにいる人は山に逃げなさい。15屋上にいる人は下に降りるな。家の中から何かを取り出そうとして中に入ってはならない。16また、畑にいる人は衣服を取りに引き返すな。17その時、身重の女性と乳飲み子を持つ女性は災いである。18このことが冬に起こらないように祈りなさい。19その日々は、神が創造した世界の初めから今日に至るまでかつてなく、また今後もないような大艱難が起こる時だからである。20もし主がその日々を短くしてくださらないなら、救われる者は一人もいない。しかし、主はご自分のものとして選んだ人たちのためにその日々を短くしてくださる」。


 キリスト再臨の徴(マタ㉔・23―2529―3642、ルカ㉑・25―343840])


 21また、その時、『見て、キリストはここにいる』『見て、あそこにいる』とあなた方に言う者がいても、それを信じてはならない。22偽キリストたち、または、偽預言者たちが現れ、徴や不思議なことを行って、出来れば、選ばれた人たちを惑わそうとするであろう。23だから、気をつけなさい。私はこれら一切のことを、あなた方に前もって預言しておく。

 24それらの日には、この苦難に続いて、

 太陽は暗くなり、

 月は光を放たず、

  25星は天から落ち、天の諸々の力は揺り動かされるであろう。

 26その時、人の子が大いなる力と栄光を帯びて、雲に乗って来るのを人々は見るであろう。27そしてその時、人の子は天使たちを遣わして、選ばれた者たちを地の果てから天の果てまで、四方から集めるであろう。

 28いちじくの木から教訓を学びなさい。枝が柔らかくなり、葉が出るようになると、あなた方は夏の近いことを知る。29それと同じように、これらのことが起これば事はもう迫って、人の子が戸口に近づいていると知りなさい。30あなた方にハッキリ言っておきます。これらのことが全て実現するまでは、今の時代は過ぎ去らない。31天地は過ぎ去る。しかし、私の言葉は過ぎ去らぬ。

 32その日、その時は、誰も知らない。天の使いたちも子も知らない。御父様だけが知っておられるのです。

 33注意して祈っていなさい。その時がいつか、あなた方は知らないからである。34それはちょうど、家を後に遠方に旅立つ人が、僕たちにそれぞれ仕事を割り当てて責任を持たせ、門番に警戒せよと、命じるようなものである。35警戒せよ。家の主は夕方帰って来るのか、夜中か、鶏の鳴く頃か、明け方か、誰にも分からない。36家の主がにわかに帰り、あなたたちが眠り込んでいるのを見つけることのないように。37私があなた方に言っていることは全ての人に言っているのである。警戒せよ」。


 殺害の策略(マタ㉖・15、ルカ㉒・12)